自爆営業は自己破産で問題になる?

ブラック企業などでは、その会社の商品や取り扱っている商品などの売り上げに販売ノルマを設定し、従業員にノルマの達成を強制しているところも多いようです。

このような会社では、ノルマの達成ができない従業員は査定に響くことを恐れて自腹を切って商品を購入したりする場合も多く、中には上司から強制的に脅されて購入したり、悪質な会社に至っては給料から天引きして売り上げを達成させるところもあると聞きます。

このような、従業員がノルマの達成のために自ら自腹を切って勤め先の取り扱う商品を購入することは「自爆営業」と呼ばれますが、最近ではネット上でもトレンドなキーワードとして多く目にする機会がありますので、ほとんどの人がご存知のことと思います。

ところで、このような自爆営業が原因で借金を重ねたり、自爆営業そのものが原因ではなくても借金の一部に自爆営業が理由となるような借金のある人の中には、借金の返済が困難となって自己破産を考えている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、この自爆営業がある人が自己破産の申立をする場合、どのような問題が生じるのか、という点について考えてみることにいたします。

自腹営業は「浪費」と判断される可能性がある

まず、自腹営業の問題点として挙げられるのは、自己破産の手続きでは自腹営業が「浪費」として扱われてしまう点です。

自腹営業では、自分の生活に必要のない商品を買うことになりますから、その購入する頻度によっては「浪費」として問題になることもあるでしょう。

自己破産で「浪費」判断されてしまうと、免責不許可事由(借金の免除が不許可になるような不適当な事由)に該当し、免責(借金の返済が免除されること)が得られなくなってしまいます。

たとえば、年に2~3万円程度の商品を自腹営業で購入している人が自己破産する場合には、金額的に少額であることからあまり問題にならないと思いますが、年に20万円も30万円も自腹営業で購入している場合には、金額的に高額になるため「浪費」と判断される可能性が出てくるでしょう。

もっとも、それが自腹営業でやむを得ず購入したということを裁判官や破産管財人に説明し、理解してもらえるように努めれば、裁判所としてもそれをことさらに「浪費」と判断されることはないと思います。

そのため、もし自己破産の申立に際して自腹営業したことが気になる場合は、申立書とは別に上申書を作成し、その上申書にその出費が自爆営業によるものであり、それがやむを得ない出費であってことを記載して自己破産の申立書に添付して提出する方がよいでしょう。

≪自爆営業であることの理解を求める上申書の記載例≫

○○地方裁判所 破産係 御中

平成○年○月○日

上申書

申立人 破産太郎 ㊞

高額な出費にいわゆる自爆営業が含まれることについて

 申立書に添付した○○銀行(口座番号*******)の通帳の写しに記載されているように、平成○年○月○日に金○万円、同年○月○日に金○万円を「カ)ニコニコウンソウ」に送金している事実がございます。

この送金先となっている「カ)ニコニコウンソウ」とは、私が勤務している「株式会社にこにこ運送(以下、単に勤務先という)」のことで、送金している金額は、勤務先の取り扱っている「ご当地食材宅配サービス」を購入した際の購入代金にあたります。

「ご当地食材宅配サービス」とは、勤務先の会社が数年前から力を入れている販売商品で、全国の名産品製造業者と提携し、その業者の製造する商品を販売することによってその商品の宅配を一手に引き受け、宅配便の件数を増やすことを目的としているものです。

この「ご当地食材宅配サービス」を取り扱うに至っては、勤務先から全従業員に対して、一般従業員については年間一人40万円以上(お中元、お歳暮の時期にそれぞれ20万円以上)、役職者については年間100万円以上(お中元、お歳暮の時期にそれぞれ50万円以上)の販売ノルマが課されられており、そのノルマが達成できない場合は賞与のカットや賃金の減額など査定上不利に扱われることが社内で日常的に行われております。

この点、私は課長という役職があるため100万円以上の販売ノルマが課せられており、必死になって営業活動をしたものの平成○年度においてはお中元の時期に28万円、お歳暮の時期に32万円しか売り上げることができず、販売ノルマに届かない金42万円については、自分で購入しなければ査定上不利に評価される可能性がございました。

そのため、勤務先の会社から査定上不利に扱われることを恐れ、その販売ノルマに届かない金額分の商品を自費で購入したものでございます。

借金の返済が滞るような経済的に行き詰った状態であることを認識しておきながら、このような高額な商品を購入したことは各債権者に多大なご迷惑と損失を与えたものと思いますが、このような如何ともしがたい事情があったことも事実でございますので、この出費については寛大な判断をいただきたく上申する次第でございます。

以上

 

 

破産管財人が選任される可能性が高くなる

前述したように、自爆営業で購入する行為については、その金額や頻度によっては「浪費」と判断される可能性があります。

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