雑誌などの定期購読者が自己破産する場合の注意点

書籍の売り上げが減少してきたと噂されてきて久しいですが、定期購読の雑誌の売り上げは比較的伸びているようです。

中でも、「ディアゴスティーニ」に代表されるマニア向けの定期購読雑誌は急速にシェアを伸ばしており、現在では「定期購読=付録付きの雑誌」という新たな認識も定着しつつあるのではないかと思います。

ところで、このような定期購読の雑誌や書籍を購入している人が自己破産の申し立てをする場合、その定期購読の契約にはどのような影響が生じるか、みなさんお判りでしょうか?

定期購読の雑誌は衣食住に直結するものではありませんので、その購入額があまりにも高額である場合には「浪費」と判断される可能性もありますし、借金の原因が定期購読に関係している場合には自己破産後もその契約が継続されるのか疑問が生じる余地もあるでしょう。

そこで今回は、定期購読の雑誌を購入している人が自己破産する場合に注意すべき点などについて考えてみることにいたします。

定期購読の契約は「浪費」と判断されるか?

自己破産の手続きにおいては、いくつかの「免責不許可事由」が定められており、この免責不許可事由に該当する事実がある場合には、たとえ自己破産の申立が認められたとしても「免責(借金の返済が免除されること)」が「不許可」となって借金の返済が免除されないのが原則です(破産法252条)。

この免責不許可事由のうち最も代表的なのは「浪費」というもので、過去に「浪費」と判断されるような行為がある場合には免責が認められなくなる可能性があります(破産法252条1項4号)。

ところで、「浪費」とはいわゆる「無駄遣い」のことを言うのですが、雑誌を定期購読することは「浪費」と判断されることになるのでしょうか?

定期購読が浪費と判断されてしまっては免責不許可事由に該当することになり、自己破産の免責が受けられない可能性が出てくるので問題となります。

この点、雑誌の定期購読は「必ずしも生活に必要不可欠」ということは言えませんから、一見すると「無駄遣い」と判断されるようにも思えます。

しかし、雑誌の定期購読は通常月々数百円から数千円程度の費用で賄えるものであり、一般的な趣味(余暇)の範疇と考えられますから、自己破産の免責を不許可にしなければならないほどの不良行為とまでは言えないはずです。

また、「浪費」が免責不許可事由とされる理由の一つには、浪費を制限することで債権者に分配されるべき資産(財産)の減少を防ぐということがあると考えられるところ、雑誌の定期購読程度の出費では財産を減少させるほどの支出とも言えないでしょう。

裁判所でも、高額なバッグを頻繁に購入したり、常識の範囲を超えた回数で外食をしたというような場合を除いて、例えばお酒やタバコなどもそれが一般的な趣味の範囲にとどまっている場合においては「浪費」とすることなく免責を認めているのが通常の取り扱いです。

そのため、雑誌の定期購読についても、それが一般的な趣味の範疇を超えない場合には「浪費」と判断されることはなく、雑誌の定期購読を利用している人であっても自己破産の免責は問題なく認められると考えて問題ないでしょう。

もっとも、あくまでも程度の問題ですので、例えば収入が30万円程度しかないにもかかわらず、毎月数万円から十数万円ほどの定期購読を購入しているというような場合には「浪費」と判断される可能性もあると思います。

 

自己破産すると定期購読は止めなければならない?

自己破産の手続きは借金の整理をするだけでなく、家計の収支状況を改善して生活を再建することも目的の一つとなっています。

自己破産の申立書に家計表(家計収支表)の提出が義務付けれらているのも生活の改善というのが一つの理由と考えられますから、自己破産の手続き中に毎月の収入できちんと生活できる家計状況に改善しない限り、裁判所(裁判官)としても免責を出すことはできないのです。

そのため、もし仮に定期購読を継続するほど生活費に余裕がないにもかかわらず自己破産の申立に至っても定期購読を途中解約していない人がいる場合には、定期購読を解約して家計の収支状況を改善するよう裁判所から指導を受けてしまう可能性もあるでしょう。

雑誌の定期購読は、その金額が趣味の範疇である限り自己破産の手続きで直接的に問題になることはありませんが、家計の収支状況によっては途中解約しなければならないこともあるので注意が必要です。

 

解約しても構わないのであれば自己破産の申立前に解約するほうがよい

前述したように、雑誌などの定期購読はそれが常識的な範囲内のものである限り「浪費」と判断されることはありませんし、家計に影響を与えない程度であれば自己破産の申立後も継続して購入することも可能です。

しかし、これはあくまでも「定期購読を継続したい」という人のための対処法にすぎませんから、そもそも「定期購読を解約しても問題ない」人の場合はあえて契約を継続する必要はありません。

むしろ、定期購読を解約することに抵抗がないのであれば、自己破産の申立前に解約し、解約した時点での定期購読量の未払い分を「負債」とし、定期購読の販売業者を「債権者」として自己破産の申し立てをするほうが良いでしょう。

定期購読の未払い分を自己破産の手続きに含めておけば、その未払い分も免責によって支払い義務が免除されることになりますので、自己破産後の経済的な負担が軽くすることができます。

 

途中解約すると違約金が発生する契約の場合には自己破産の申立前に途中解約をしておくべき

定期購読の契約上、途中解約すると違約金が発生するようになっている場合には、自己破産の申立前に解約しておくべきでしょう。

なぜなら、途中解約すると違約金が発生するような定期購読の契約を、自己破産の開始決定が出された後に解約してしまった場合には、その解約に伴う違約金を自己破産の手続きが終了した後も支払わなければならなくなってしまうからです。

自己破産の開始決定が裁判所から出されてしまうと、その後に発生する債務(負債)については自己破産の免責が下りても免除の対象とはならず、自己破産の後も支払をしなければならないことになります。

自己破産は開始決定が出されるまでに発生する負債を免責する手続きですので、開始決定後に発生する負債は免責の対象とならないのです。

なので、違約金を支払いたくない場合には、自己破産の申立前に解約の申し込みをして定期購読の契約を解約しておき、その発生した違約金を「債務(負債)」として債権者一覧表に記載して自己破産の申立をするようにしましょう。

こうしておけば、自己破産の手続きにその違約金も含まれることになりますから、自己破産の免責が出されればその違約金の支払いについても免除されることになります。

 


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