ネットオークション利用者が自己破産する場合の注意点

【東京地裁で使用されている申立書の場合】

● 過去2年間に処分した評価額又は処分額が20万円以上の財産
*過去2年間に処分した財産で、評価額又は処分額のいずれかが20万円以上の財産をすべて記入します。
*不動産の売却、自動車の売却、保険の解約、定期預金の解約、ボーナスの受領、退職金の受領、敷金の受領、離婚に伴う給付などを記入します。
*処分に関する契約書・領収書の写しなど処分を証明する資料を提出します。
*不動産を処分した場合は、処分したことが分かる登記簿謄本を提出します。

財産の種類処分時期評価額処分額相手方使途
腕時計H〇年〇月〇日15万円22万円ヤマダタロウ返済・生活費
年 月 日

 

【福岡地裁などで使用されている申立書の場合】

12 過去1年以内に10万円以上で処分した動産
□ない
☑次のとおり

処分の時期動産の種類購入金額処分金額相手方
H〇年〇月〇日腕時計30万円22万円ヤマダタロウ
年 月 日

既に処分代金を使ってしまった場合は、使途の内訳を詳しく記載してください。

代金として受け取った22万円は全て借金の返済と生活費の不足分に充てました。

なお、「過去2年間に処分した財産」や「過去1年以内に10万円以上で処分した財産」の項目の記載方法については、こちらのページも参考にしてください。

資産目録の作成手順(13)過去2年間に処分した財産の記載方法

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自己破産の申立をすることに決めた後はネットオークションを一切利用してはいけない

なお、自己破産の申立を行った後や自己破産の申立を行うことがある程度確実になった後は、ネットオークションを利用して自分の所有物を売却してはいけません。

自己破産をすることがある程度確実になった後は自分が所有する財産は全て自己破産の手続きにおいて債権者に分配(配当)される財産として取り上げられる予定のある財産ということになりますので、それを勝手に処分してしまうと後で裁判所や破産管財人から不当に財産を処分したと指摘されて問題になる場合があるので注意してください(※最悪の場合は免責不許可事由となり自己破産による借金の免除が受けられなくなる可能性があります)。

 

ネットオークションを利用している場合の上申書の書き方

前述したように、ネットオークションを利用している人が自己破産の申立をする場合には、ネットオークションで商品を購入している場合に限らず、ネットオークションに商品を出品している場合であっても、その内容を自己破産の申立書とは別に上申書を作成して裁判所に説明しなければなりません。

なぜなら、自己破産の申立書には自分が所有している預金口座の通帳のコピーを添付して提出しなければならないところ、ネットオークションにおける代金の受け渡しは銀行口座への振り込みを利用していることが多く、その入出金の履歴は預金通帳に印字されることになるため、その入出金履歴が何のための振込(又は入金)なのか裁判所に説明する必要があるからです。

ネットオークションの出品者(又は落札者)の振り込み(又は入金)は個人名で印字されることが多いので、通帳をそのまま裁判所に提出したのでは「この個人名の入金(又は出金)は何ですか?誰かからの借金を返済したもの(又は誰かに貸した借金の返済を受けたもの)ではありませんか?」と裁判所(裁判官)に不信をもたれてしまうため、その疑惑を払しょくするために上申書を作成して説明する必要があるのです。

たとえば、平成26年6月1日でヤフーオークション(ヤフオク)で鳥居坂46のフィギア1体を7,800円で落札し(出品者である㈱もえもえフィギアハウスに対しては代金7.800円をUFJ銀行の口座から平成26年6月15日に振り込んでいる)、平成27年3月1日に同じくヤフオクで自分が所有する購入価格30万円(時価15万円)の腕時計を出品し22万円で落札された場合(落札者はヤマダタロウで、代金の22万円はゆうちょ銀行の口座に平成27年3月15日に振り込まれている)の上申書の記載例は次のようになります。

〇〇裁判所破産係 御中

上申書

平成〇年〇月〇日

申立人  破産 太郎 ㊞

預金通帳に記載された個人名等に関する入出金について

1.三菱東京UFJ銀行(口座番号*******)の入出金記録について

添付書類として提出した三菱東京UFJ銀行(口座番号*******)の預金通帳の平成26年6月15日の欄に、「カ)モエモエフィギアハウス」への金8,070円の出金記録がございますが、これは同年6月15日にヤフーオークション(以下「ヤフオク」という)を利用してアイドルグループである鳥居坂46のフィギア1体を金7,800円で購入したことによるものでございます(※うち270円は振込手数料が加算されたもの)。

なお、落札したフィギアは友人の誕生日にプレゼントとして贈与したため手元には残っておりません。

2.ゆうちょ銀行(口座記号番号*********)の入出金記録について

添付書類として提出したゆうちょ銀行(口座記号番号*********)の貯金通帳の平成27年3月15日の欄に「ヤマダタロウ」から金220,000円の入金がございますが、これは所有していたブルガリの腕時計(購入価格30万円)をヤフオクに出品し、金22万円で落札された代金が振り込まれたものでございます。

なお、この腕時計のリサイクル業者での買い取り価格は概ね15万円程度とされています。

以上

添付書類

・乃木坂46のフィギアの販売価格の記載されたウェブサイトのページをプリントアウトしたもの 1通
・リサイクル業者での腕時計の買取価格を示すチラシの写し 1通

以上

※上申書を提出するに当たり、フィギアの時価が7,800円であること(適正価格で購入していること)を証明するためウェブサイトに記載されている同じ種類のフィギアの販売価格を証拠として提出し(サイトをプリントアウトしたものを提出し)、また腕時計が適正な価格で売却されたことを証明するため、腕時計の時価が15万円であることを証明することができるリサイクル業者での腕時計の買取価格を示すチラシ(そのチラシにはブルガリの腕時計の買取価格が15万円以上と記載されていること)を添付するものとしています。

※購入したものについては「資産」となりますので、現状でその購入した商品がどこ保存されているかを記載する必要があるでしょう(手元に残っていれば売却してお金に換えることができるので記載する必要があります。記載例のように贈与したり紛失したり廃棄してしまっていたり、使用して消費してしまっているような場合には「手元にない」ということを記載しておいた方がいいでしょう)。

※上申書を提出する段階では、上申書に記載した購入価格や販売価格が適正であることを証明する書面の添付は必ずしも必要ではありませんが、後で裁判所から「その価格が適正であることを示す資料を提出してください」と指示されることが多いです。

 

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