弁護士と司法書士、自己破産を依頼するならどちらがいいの?

司法書士に自己破産を依頼する場合

自己破産の手続きは、その負債や資産の金額にかかわらず全て地方裁判所の管轄となります。

そのため、司法書士に自己破産を依頼する場合には、「裁判所に提出する書類の作成業務」しか行うことができませんから(前述したとおり司法書士は簡易裁判所でしか代理人として業務を行うことができない)、弁護士の場合と異なり、全てを丸投げして自己破産手続を終わらせることはできません。

司法書士に自己破産を依頼した場合は、司法書士と申立前の打ち合わせを行い、添付書類の収集をして司法書士に渡した後、司法書士が申立書を作成して裁判所に提出します。

しかし、弁護士と異なり司法書士には自己破産における代理権がありませんから、裁判所から出廷の呼び出し(審問期日)がある場合は必ず本人が裁判所に出廷しなければなりません。

とはいっても、審問期日の出廷は基本的に司法書士の同席が認められている裁判所が多いので、一人で裁判所に行かなければならないといった心配はありません。

また場合によっては裁判官が同席した司法書士に説明を求めることもありますので特段不自由を感じることも無いと言えるでしょう。

裁判所との連絡や書類のやり取りは全て司法書士がやってくれますので、基本的には弁護士と司法書士業務に違いはあまりありません。

ただし、あくまでも本人が申し立てたという「体(てい)」で進めなければなりませんので、司法書士に丸投げという状態で進めることはできず、逐次司法書士と依頼人が連絡を取り合って裁判所とのやり取りを行わなければなりません。

司法書士に自己破産を依頼するメリット

▶弁護士と異なり代理人となれない分、報酬が弁護士と比較して安いのが一般的。
▶審問期日には本人が裁判所に出廷しなければならないため、自己破産をしたという実感を持つことができる(心の底から反省しその後の経済的更生を決意している人にとっては裁判官の前で自分が行った過ちを申告することは貴重な経験となる)

司法書士に自己破産を依頼するデメリット

▶審問期日には必ず本人が裁判所に出廷しなければならない。

≪自己破産手続における弁護士と司法書士の違い一覧表≫

自己破産の手続き弁護士司法書士
申立前の打ち合わせやってくれるやってくれる
申立書に添付する書類の収集一部やってくれる一部やってくれる
自己破産申立書の作成やってくれるやってくれる
自己破産申立書の提出やってくれるやってくれる
裁判所に出廷弁護士が行く
※裁判所の指示あれば別
本人が行く
※司法書士は同席する
裁判所との連絡や書類のやり取りやってくれるやってくれる
一般的な報酬司法書士よりも高い弁護士よりも安い
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自己破産では弁護士と司法書士のどちらに依頼するのが良いのか?

自己破産の手続きにおける弁護士と司法書士の違いは上記のように、審問期日に裁判所に行かなければならないかどうかという一点に尽きると思います。

自己破産の審問は10分程度で終わるため、それほど負担にはならないと思いますが、仕事などが忙しく、10分程度であっても裁判所に行くことができないというような人の場合は弁護士に依頼するのがいいでしょう。

もっとも、個人的には弁護士も司法書士もほとんど同じだと思いますので、結論から言えばどちらに依頼しても良いと思います。

一番重要なのは「信頼できるか」ということ

弁護士や司法書士に依頼する場合に一番重要なのはその弁護士や司法書士が信頼できるかという点です。

自己破産の手続きは全ての手続きが終了するまで早くても半年、長い場合は1年以上の期間が必要となりますので、依頼した弁護士や司法書士とは長期間にわたって顔を合わせて打ち合わせをしなければならないでしょう。

最初に相談に行ったときに「この弁護士(司法書士)と半年以上付き合っていけるか?」と自分に聞いてみて、その弁護士や司法書士を信頼できそうなら依頼すればいいと思います。

報酬の安い弁護士や司法書士を捜して依頼をするのもいいですが、信頼関係が築けない弁護士や司法書士に自分の将来を左右するような手続きを依頼するのは、後々相当なストレスとなるでしょう。

また、間違って悪質な弁護士や司法書士に引っかかったのでは余計に損害を被ることになってしまいかねませんので、弁護士や司法書士を選ぶ際は十分に吟味するべきだと思います。

≫ 悪質な弁護士・司法書士事務所を見分ける3つのポイント

可能であれば、2人か3人の弁護士や司法書士に相談して、そのうちの一人に依頼するというのが自己破産手続における弁護士や司法書士の賢い選び方といえるでしょう。

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