同時廃止と破産管財事件 – 破産管財人が選任される場合とは?

自己破産の手続きは、大きく分けて「同時廃止型」と「破産管財型」の2つに分かれます。

破産管財人が選任されず簡単な手続きで自己破産が終了するのが「同時廃止型」であり、破産管財人が選任されて細かく調査されるのが「破産管財型」の自己破産手続きとなります。

とはいっても、「同時廃止型」と「破産管財型」はどのように違うのか、また、どのような基準で手続きが分かれるのか、自己破産の手続きになじみがない人にとってはいまいちよく分からないと思います。

そこで、ここでは自己破産手続きの「同時廃止型」と「破産管財型」はどのような違いがあるのかなどについて考えてみることにいたしましょう。

自己破産の申立を行うと裁判官が「同時廃止型」と「破産管財型」に振り分ける

自己破産の申立書を作成して裁判所に提出すると、裁判官がその申立をした人について「簡易な手続きで簡単に終わらせる」か、「破産管財人を選任して詳しく調査させる」かの判断を行います。

裁判官が、「簡単な手続きで終わらせても良い」と判断すれば、その自己破産手続きは「同時廃止型」となり、「破産管財人を選任して詳しく調査させる」と判断すれば「破産管財型」の自己破産となります。

 

「同時廃止型」の自己破産とは?

「同時廃止型」の自己破産手続とは、破産管財人を選任させずに、簡単な手続きで自己破産を終わらせる形態を言います。

自己破産の申立書を裁判所に提出すると、裁判所が「破産の開始決定」を出しますが、その開始決定と同時に「破産の廃止決定」を出して破産手続きを終了させるのが「同時廃止型」の自己破産手続となります。

自己破産の手続きを「開始」すると同時に「廃止(終了)」させることから「同時廃止」と呼ばれます。

なぜこのような処理をするかというと、自己破産の申立に特に問題がなく、これといった資産も無いような人の自己破産を詳しく調査しても、時間や費用の無駄になってしまうからです。

このように、特段の問題もなく、資産も持っていないような人が申し立てを行った自己破産については、「同時廃止型」にして簡単に終了させることになることが多いです。

 

「破産管財型」の自己破産とは?

「破産管財型」の自己破産とは、裁判所が破産管財人を選任して、不正な行為や売却できる財産などがないか詳しく調査をさせる形態を言います。

「同時廃止型」の場合には、「開始決定」と同時に「廃止決定」が出されますが、「破産管財型」の自己破産の場合には「開始決定」と同時に「廃止決定」は出されません。

「破産管財型」の自己破産の場合には、「開始決定」が出された後、破産管財人が選任されて資産や不正な行為がないか調査し、資産の配当や調査が終わった後で「廃止決定」が出されることになります。

≫ 破産管財人が選任されると何がどうなるの?

このように、「破産管財型」の場合は破産管財人が選任されるというところが特徴であり、「破産管財型」の場合は「同時廃止型」の場合よりも手続きが長期化するのが通常となります。

 

「同時廃止型」で処理されるのはどんな案件か?

では、どのような場合は「同時廃止型」の自己破産として処理されるのでしょうか?

破産法という法律には、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」に「同時廃止型」にするとしか書かれていませんので(破産法216条1項)、具体的にどのような場合が「同時廃止型」になるかは明らかではありません。

しかし、「破産財団をもって破産手続の費用支弁するのに不足する」という文章は、簡単にいうと「破産管財人の費用を出すことが出来ないとき」という意味になりますから、破産管財人の費用を支払うような金銭的余裕がない場合は「同時廃止型」で処理するという取り扱いが、各地の裁判所で一般的に行われているようです。

裁判所から選任される破産管財人は一般的に弁護士が就任することになりますが、破産管財人は複雑な資産調査や債権者に対する配当などもやらなくてはいけないため「タダ(無料)」というわけにはいきません。

そのため、破産管財人が選任される場合は、自己破産の申立をする人がその破産管財人の報酬を支払わなければいけないことなっています。

この破産管財人の報酬は、一般的に最低20万円というのが多くの裁判所の取り扱いですから、この20万円を支払えないような人が自己破産の申立を行った場合などは、一般的に「同時廃止型」として処理されることが多いです。

 

「破産管財型」で処理されるのはどんな案件か?

「同時廃止型」のところで書いたとおり、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」には「同時廃止型」となるのですから、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁することができるとき」、言い換えれば「破産管財人の費用を支払うことができるとき」には「同時廃止型」ではなく「破産管財型」となります。

破産管財人の費用は一般的に20万円ですから、一般的には20万円を支払うことができるような人が申立を行っている場合は、その自己破産手続は「破産管財型」で処理されるということになります。

なお、自己破産の原則的な処理方法は「破産管財型」であり、「同時廃止型」は例外的な処理方法となっています。

本来は全ての案件で破産管財人を選任して詳しく調査させるべきですが、そうはいってもどうしても費用を支払えないような人もいますので、そのような場合に特別に破産管財人を選任しない同時廃止型で処理するという取扱いになっています。

 

破産管財人の費用20万円を払えなくても「破産管財型」となる場合

「同時廃止型」と「破産管財型」の基本的な振り分け基準は前述したとおりですが、事例によっては、破産管財人の費用となる20万円を支払えないような経済状況の人であっても破産管財人が選任される「破産管財型」で処理される場合があります。

ここでは、参考までに、破産管財人の費用20万円を払えなくても「破産管財型」となる場合をいくつか例示しておきましょう。

免責不許可事由がある場合

免責不許可事由とは、財産を隠したり、ウソをついて借金をしたり、借金の原因が浪費であったりなど、債権者を害したり、裁判所の自己破産手続を妨害するような行為のことを言います(具体的には破産法252条に列記されています)。

このように、不正な行為などがある場合には、破産管財人に詳しく調査させることが必要となりますから、破産管財人の費用を払えないような場合であっても、「破産管財型」で処理されることがあります。

自己破産の申立が2回目以上である場合

一度自己破産の申し立てを行った場合であっても、7年が経過すれば再び自己破産の申立を行うことが可能です。

しかし、2回目の自己破産の申立となると、裁判所も「あ~そうですか」といって簡単には手続きを終了させるわけにはいきません。

そこで、2回目以上の自己破産の申立である場合には、事案を詳しく調査させたり、今後重ねて自己破産をさせないように指導させる必要があることから、破産管財人が選任される「破産管財型」で処理されることが多くあります。

現金以外の資産が多くある場合

現金は99万円まで自由財産となりますが、それ以外の財産については基本的に裁判所が取り上げて売却し債権者に配当がなされることになります。

この財産の売却や債権者への配当は、基本的には破産管財人が行わなければならないため、現金以外の財産が多くある場合には破産管財人の選任が必要となります。

そのため、現金を20万円用意できない場合であっても、破産管財人が選任される「破産管財型」で処理されることになります。

なお、現金が99万円を超えるような場合も同様です。

会社の代表者や自営業者の場合

会社の代表者(取締役)や自営業者が自己破産する場合には、負債額が大きくなったり、仕事上の契約関係が複雑になったりすることが多く、また、会社と個人の資産(負債)が混ざり合い、裁判所が事案を把握するのに調査が必要な場合が多くあります。

そのため、会社の代表者や自営業者が自己破産する場合は、事案を調査させるために破産管財人を選任させる「破産管財型」で処理することが多くあります。

 

管財人費用を払えないのに「破産管財型」となった場合どうなる?

破産管財人の費用となる20万円を払えないのに「破産管財型」で処理される場合には、通常は自己破産の申立を行った後、裁判所から「毎月〇万円づつ積み立ててください」というような指示がなされます。

弁護士や司法書士に自己破産の手続きを依頼している場合は、5万円なら4か月間、7万円なら3か月間、その依頼した弁護士や司法書士の管理する口座に毎月振り込みを行い、20万円が貯まった時点で裁判所に破産管財人の費用20万円を納付すると、自己破産手続が開始されるというような取扱いになっていることが多いです。

自分で申立書を作成して自分で申し立てを行う本人申立の場合は、自分の預金口座に毎月貯金し20万円が貯まった時点で裁判所に納付することになるでしょう。

裁判所から「毎月〇万円づつ積み立ててください」と指示されたにもかかわらず、指定された期限までに破産管財人の費用を積み立てることができないような場合には、自己破産の申立が却下され、借金返済の免除が受けられなくなる可能性もあるので注意が必要です。

≫ 自己破産で管財人費用(予納金)を支払えない場合はどうなるの?

 


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