陳述書の作成手順(7)作文の記載方法

自己破産申立書の陳述書(報告書)に設けられている「作文(破産に至った事情)」の項目には、借入の始まりから自己破産の申し立てに至るまでの生活状況などを作文形式で時系列に記載することが必要です。

この作文(破産に至った事情)については定型の記載要領というものはありませんので自分の言葉で文章を綴って行けば問題ないのですが、自己破産の申し立てを初めて行う一般の人にとっては何をどう書けばよいのか案外難しいのが現実でしょう。

そこで今回は、自己破産申立書の陳述書にある「作文(破産に至った事情)」の書き方について考えていくことにいたしましょう。

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債権者一覧表に出てくる債権者は全て作文に登場させる

自己破産申立書の陳述書の「作文(破産に至った事情)」は借金を始めたときから自己破産の申し立てをするまでの期間の生活状況を時系列に記載していくものです。

「〇年〇月ごろにどこそこの消費者金融からいくらぐらい借りて何に使いました・・・」とか「〇〇にお金が必要だったので〇年〇月に△という銀行からいくら借りて毎月いくらぐらい返していました・・・」というふうに、借り入れと返済の状況を具体的に記載していくわけです。

そのため、債権者一覧表に記載した債権者については、全て作文に登場させてその債権者ごとに「いつ借り入れたか」「いくら借り入れたか」「いくら返済したか」など個別に書いていく必要があります。

債権者一覧表に記載している債権者で、作文に登場しない債権者があると裁判所から「債権者一覧表の〇番の債権者からの借入はどういう状況で借り入れたのですか?」と補正(申立書の訂正を求められること)が入る可能性が高いので注意するようにしましょう。

 

債権者一覧表の「借入・購入等の日」と作文に書く日付は一致させる

作文(破産に至った事情)には債権者一覧表に記載した債権者をすべて登場させるのは前述したとおりですが、その際、債権者一覧表の「借入・購入等の日」に記載した日付と作文に記載する日付を合わせるように注意する必要があります。

例えば、消費者金融のA社について債権者一覧表の「借入・購入等の日」の欄には

住所借入・購入等の日債務額
~平成15年4月~平成24年8月~

 

と記載しているのに、陳述書の作文には

平成15年9月ごろに生活苦から消費者金融のA社から借り入れを始めるようになりました・・・

 

などと記載した場合には、債権者一覧表と作文の記載が合わなくなってしまうので裁判所から補正を求められる原因になります。

債権者一覧表の「借入・購入等の日」と作文に書く年月日は同じになるように確認して記載しましょう。

 

裁判所の定型の申立書のスペース分は必ず埋めるぐらいの分量を書く

各裁判所によって自己破産申立書の陳述書にある作文(破産に至った事情)の欄の大きさも様々ですが、一般的にはA4用紙2枚程度のスペースが作文を書く欄としてとられています。

そのため、最低でもA4用紙2枚程度の分量は書くようにしておきましょう。

A4用紙2枚分と言っても、行数にしたら40~50行程度で1行当たり20~25文字しかなく、文字数にすると1000~1200字しかありませんのでそれほど苦にはならないと思います。

あまり少なすぎると裁判所から「もっと書け」と補正が入りますし、あまり長すぎると「小説かよ!」と突っ込まれるので、A4用紙2枚程度に収まるように要点を絞って簡潔に記載しましょう(※但し、借入期間が長かったり借入している業者の数が極端に多い場合はある程度長い作文が必要な場合もあります)。

 

陳述書の作文の書き方のコツ

陳述書の描き方に特別なコツはありませんが、作文(破産に至った事情)を書くのが苦手な人は箇条書きにしたら良いでしょう。

債権者一覧表の「借入・購入等の日」は上から古い順に並んでいますから、まず、債権者一覧表の1番目の債権者から「借入購入等の日」の日付を作文の左端に書いて、その右側にその借入をした頃の状況を記載します。

1番を書き終えたら債権者一覧表の2番の日付を作文の左端に書いて・・・という様に順番に箇条書きにしていけば、裁判所の書記官も読みやすく分かりやすい作文となります。

実際に記載例をご紹介しようと思いましたが、ページが長くなりすぎたので、作文の記載例については次回の(8)に掲載することにいたします。

陳述書の作成手順(8)作文の記載例

 


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