消滅時効の援用通知書の書き方

借金をしても、お金を貸した側(債権者)に5年以上返済をしていなかったり、お金を貸した側(債権者)から5年以上の期間にわたって裁判を起こされていない場合には、「消滅時効」に該当することになり、返済する必要がなくなることになります。

ただし、この「消滅時効」は、お金を借りている側から「消滅時効を援用します」とお金を貸している側(債権者)に通知しなければ効力を生じません。

(※「援用」とは消滅時効の効果を受けますと主張することをいいます。)

消滅時効を援用するための通知は、書面を作成して相手方(債権者)に郵送するのが通常ですが、後で相手方から「そんな通知は受け取っていない」と主張されるのを防ぐため、内容証明郵便で送付する必要があります。

そこで今回は、この消滅時効の援用通知書を内容証明郵便で送付する場合の記載例をご紹介することにいたしましょう。

※内容証明郵便とは郵便局が取り扱っている郵便の送付方法のひとつで、同一の内容の記載された書面を3通作成し、そのうちの1通を相手方に送付し、もう1通が郵便局に保管され、残りの1通が送付する人の控えとして返還される郵便物のことをいいます。

相手方に送付された書類と全く同一の書類が郵便局に保管されることから、たとえ相手方から「そんな通知受け取っていない」と主張されても郵便局に保管されている書面によって相手方に郵送されたことが証明できますし、裁判になった際には控えとして受け取った書面を証拠として裁判に提出することが可能となります。

詳細は内容証明 – 日本郵便のサイトでご確認ください。

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消滅時効の援用通知書の記載例

通知書

貴社は、通知人に対し、平成○年○月○日付けの通知書(催告書)をもって、貸付日を平成○年○月○日とする貸付金の元金、利息、損害金の合計○円の支払いを求めておりますが、通知人はそのような貸付金については把握しておりません。
また、仮に貴社の通知書に記載されているような借り入れがあったとしても、5年以上の弁済をしておりませんから商法522条により時効によって消滅しております。
よって通知人は、本書面において右消滅時効を援用いたしますので、今後通知人に対する請求は一切なさらないようお願いいたします。

以上

平成○年○月○日

通知人 東京都江東区○○町○丁目○番○号
借金 志太郎

被通知人 大阪市北区○○町○丁目○番○号○○第一ビル○階
株式会社貸すネットタバタ

代表取締役 御金 貸造

 

 

※内容証明郵便は下記のとおり字数や行数に制限がありますので(電子内容証明を除く)、適宜上記の記載例を郵便局指定の行数に書き直して使用してください。

内容証明郵便の字数・行数制限(横書きの場合)
・1行を20字以内にする場合には1枚26行以内
・1行13字以内にする場合には1枚40行以内
・1行を26字以内にする場合には1枚20行以内

 

なお、ネット上に散見される消滅時効の援用通知書の記載例では、「○○の場合には法的処置を行う」とか「時効中断の処置を講じている場合にはその証拠を提出してください」とか記載されているものもありますが、特段そのような記載をする必要はありません。

(法的処置を行うなどと記載しては「脅迫」と受け取られかねないですし、相手方が時効中断の処置をとっていた場合には、わざわざこちらから言わなくても向こうから連絡してきます。)

内容証明郵便は通知書を送ったことを証拠として残すことができますが、その反面、自分が書いた文章も全て証拠として残ることになり自分に不利に働く可能性も存在しています。

そのため、内容証明郵便には不必要なことは極力記載せず、できるだけ簡潔に記載する方が安全ともいえますので注意するようにしてください。

 


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