自己破産申立書の報告書(陳述書)の「申立人の経歴等」の第2項と第3項にある「家族関係」を記載する欄には、結婚(離婚)の有無や同居(別居)の親族などを記載します。
これは、家族の収入や家計状況を調べたり、相続関係を知るうえでも重要となりますので正確に記載する必要があります。
そこで、ここでは自己破産申立書の報告書(陳述書)にある「家族関係」の欄の記載方法について考えていくことにいたしましょう。
なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。
報告書(陳述書)の「家族関係」の欄の様式
報告書(陳述書)の「家族関係」の欄の様式については、各裁判所によって若干の様式に違いがありますが、おおむね次のように「結婚、離婚歴等」と「同居者及び別居の親並びに子の状況」の2つに分かれているものが多いようです。
≪様式例≫
第1 申立人の経歴等
1 職歴
(省略)
2 結婚、離婚歴等
時期 相手方の氏名 事由 年 月 □結婚 □離婚 □内縁 □内縁解消 □死別 年 月 □結婚 □離婚 □内縁 □内縁解消 □死別 年 月 3 同居者及び別居の親並びに子の状況
氏 名 続柄 年齢 職業・学年 同居・別居 平均月収(円) □同 □別 □同 □別 □同 □別
※裁判所の様式によっては「結婚・離婚歴等」の欄が省略されているものもあります。
「結婚、離婚歴等」の欄の記載方法
「結婚、離婚歴等」の欄については、申立までにした結婚(または離婚)の相手とその時期を全て記載します。
正式に婚姻届を出していなくとも、同棲していたりして家計が同一と言えるような場合には「内縁の夫(妻)」といえるので、結婚(離婚)しているのと同様に記載しましょう。
「事由」の欄にはチェック(☑または■)を記入します。
「同居者及び別居の親並びに子の状況」の欄の記載方法
「同居者及び別居の親並びに子の状況」の欄については、親と子については同居・別居の区別をして全て記載します。
「親」について
「親」とは実親のみならず、養父母であっても記載します。
普通養子縁組の場合は「実親」と「養父母」の双方を記載する必要があります(※特別養子縁組の場合は実親との法律関係が消滅するので記載する必要はないかと思いますが、念のため裁判所で確認を取った方がよいでしょう)。
「同居・別居」の欄にはチェック(☑または■)を入れます。
生死の区別なく記載する必要があり、死亡している場合には「職業・学年」の欄に「〇年○月○日亡」と死亡した年月日を記載しておきましょう。
親が働いている場合はその収入を、働いていなくても年金などの収入があればその金額を「平均月収」の欄に記載します。
年金生活者の場合には「職業・学年」の欄に「年金」と記入しておきます。
「子」について
「子」とは実子のみならず、養子であっても全て記載する必要があります。
実子の他に養子がいる場合は実子と養子の双方を記載する必要があります。
「同居・別居」の欄にチェックを入れます。
「子」に収入がある場合は「平均月収」の欄にその金額を記入します。学生などで働いていない場合は「なし」や「0円」と記載します。学生であってもアルバイトなどで収入がある場合はその金額を記載しましょう。
「同居者」について
「同居者」とは同一の世帯に住み家計が同一になっている同居人のことです。
血のつながりがない場合でも、家計が同一の同居人がいる場合にはその同居人も記載する必要があります。
例えば、夫婦2人の世帯に学生の下宿人が住んでいるような場合には、その下宿人についても記載する必要があるでしょう。
ただし、2世帯住宅などで家計が全く別になっているような状況であれば記載する必要はないでしょう(たとえば、同じ家の1階に親夫婦が2階に長男夫婦が住んでいて住民票も別になっていて食費や生活費を全く別にしているような場合)
※同居人の取り扱いについては裁判所によって若干の違いがありますので念のため事前に裁判所や相談する弁護士・司法書士に確認する方が無難です。
「兄弟姉妹」について
「兄弟姉妹」については基本的に記載する必要はありませんが、その兄弟姉妹が同居しているような場合は前述の「同居人」に該当しますので記載する必要があります。
なお、「兄弟姉妹」であっても既に死亡していて相続が発生しているような場合(その死亡した兄弟姉妹が結婚しておらず子供もいないような場合には父母と兄弟姉妹が相続人になります)には、相続財産を受け取ることになるので「〇年〇月〇日亡」として記載する必要があるでしょう(※このあたりも裁判所によって取り扱いが異なりますので詳細は裁判所や相談する弁護士・司法書士に尋ねる方が良いでしょう)。
記載するかしないか迷った時
記載するかしないか迷った時は、全て記載するようにしましょう。
記載する必要のない親族を記載したとしてもそのままスルーされるか後で補正(訂正)させられるぐらいで済みますが、記載しなければならない親族などに記載漏れがあると「財産を隠す目的でワザと記載しなかったんじゃないか?」とあらぬ疑いを掛けられる可能性があるので危険です。