破産管財人が選任されると何がどうなるの?

なお、破産管財人はそれらの郵便物を本人の承諾を得ないで開封し中身を確認することができますが、よほど怪しい案件や不審な郵便物でない限り破産管財人が勝手に開封することはありません。

開封する場合であっても、本人に事務所まで来てもらって本人の承諾を得てから本人の目の前で開封して確認するのが普通ですので、あまり神経質になる必要はないでしょう(※開封しないでそのまま本人に渡されることも多いです)。

もっとも、破産管財人が選任されると必ず郵便物が破産管財人の事務所に転送されるというわけではありません。

自己破産の申立自体に特に問題とするような点がなかったり、これといった資産もない場合には、郵便物を転送させる必要性もなく、郵便物を転送することも面倒になりますので、破産管財人の方で転送の手続きは取らないことが多いです。

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銀行などの預金通帳は全て破産管財人に預けなければならない

破産管財人が選任されると、銀行や信用金庫、信用組合などの預金口座の通帳は、すべて破産管財人に預けなければならないことになります。

これは、預金口座に預金されているお金は全て「資産」となり債権者に分配するためというのが主な理由ですが(ただし自由財産を除く)、預金残高が0円であっても過去の出入金記録をチェックする必要がありますし、資産隠しに使われることを防止するうえでも破産管財人に預けるのが原則的な取り扱いとなっています。

もっとも、すべての自己破産の案件で破産管財人に預けなければならないというわけではありません。

自己破産の申立に不審な点や問題とするような点がなかったり、預金口座に資産となるような預金が残されていない場合(通常は全ての口座の預金額を合計した金額が20万円を超えない場合)には破産管財人が通帳を預からない場合も多いです。

預金通帳を預けなければならないかどうかは、その案件や選任される破産管財人の考え方によって異なりますので、ケースバイケースと考えた方がよいでしょう。

 

なお、通帳を破産管財人に預けなければならない場合であっても、その口座に預金しているお金が使えないというわけではありません。

家賃や光熱費の引き落としは、基本的にそのままにしておいても問題なくその口座から引き落とされますし(※ただし破産管財人から引き落とし口座を変更するように指示される場合もあります)、給料の振り込みがあった場合には、その破産管財人の許可を得て振り込まれた給料を引き出すことも可能です。

なので、口座を通帳を預けてもその預金しているお金がすべて取り上げられるというものではないので誤解しないようにしてください。

 

破産管財人の費用(報酬)が必要となる

破産管財人はボランティアではありませんので、破産管財人が選任されると、その破産管財人に報酬を支払わなければなりません。

破産管財人の報酬は当然、自己破産の申立した人が支払わなければならないことになります。

金額は、その申し立てた自己破産の案件によってことなりますが、個人の自己破産の案件では20万円程度が一般的です。

個人事業主や会社代表者(会社の経営者・代表取締役など)の場合はこれより10万円~20万円ほど高くなるの一般的です。

会社の代表者(経営者)で、代表取締役となっている会社を清算しないで個人の自己破産だけを行うなどの場合(会社をペーパーカンパニーにして放置する場合)には、50万円以上の破産管財費用を支払わなければならないこともあるので注意が必要です。

この破産管財人の報酬(管財費用)は基本的には自己破産の申立後に一括で支払うのが通常で、支払先は裁判所になります。

もっとも、手元にまとまったお金がない場合には、裁判所から3か月~半年の猶予期間が出されますので、その猶予期間に毎月分割で自己破産を依頼する弁護士や司法書士の事務所に送金し、積み立てを行って破産管財費用が貯まった時点で一括で裁判所に納付するのが一般的です。

「納付できない場合はどうなるの?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、破産管財人の費用を支払う(予納する)ことができない場合は、自己破産の申立は却下されてしまうので、借金の免除は受けられないことになります。

≫ 自己破産で管財人費用(予納金)を支払えない場合はどうなるの?

 

以上が破産管財人が選任された場合の代表的な影響といえるでしょう。

もっとも、破産管財人が選任されたからといって、自己破産の申し立てをする側にとっては特に何も心配することはありません。

破産管財人に言われるまま、破産管財人に聞かれることには正直に回答し、破産管財人の行う調査に素直に協力しておけば、問題なく免責(借金の返済が免除されること)を受けることができます。

ただ、お金が20万円ぐらい余計に必要になることと、自己破産の手続きが終わるまで最低でも1年ぐらい(場合によっては1年以上)かかるとという点を理解しておけば問題ないと思います。

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