自己破産の債権者に保証会社が付いている場合の注意点

銀行のカードローンなどでは、契約に保証会社などが絡んでいる場合が多いです。

これは、銀行などの金融機関は、貸したお金が返済されないような場合のリスクを最低限に抑えるため、グループ企業の保証会社などを保証人に加えて、万が一返済がなされない場合のリスクを担保する必要があるためです。

このような場合、返済を怠って自己破産するようなことになると、保証会社が代わりに借金の返済(代位弁済)をすることによって、債権者が銀行から保証会社に変更されることもあるので注意が必要です。

そこで、ここでは自己破産の債権者に保証会社か絡んでいるときの注意点などについて考えてみます。

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保証会社とは?(保証委託契約とは?)

例えば、X銀行がAさんにお金を貸す場合、Aさんがお金を返せなくなった時に備えてY保証会社に借金の保証をしてもらいます。

具体的には、AさんがX銀行からお金を借りる場合には

① AがX銀行からお金を借りるという契約(AとX銀行の契約)
② AがX銀行に返済できなくなったときにY保証会社が代わりにお金を返済するという契約(AとY保証会社の契約)

の2つの契約を行います。

①の契約は貸金契約(金銭消費貸借契約)といい
②の契約は保証委託契約といいます。

こうしておけばX銀行はAさんがお金を返済できなくなったときにもお金の回収可能ですし、Y保証会社もAさんから保証委託料を取ることが出来るので、仮にAさんが滞りなく借金の返済を終えた場合にはこの契約から利益を受けることが出来ます。

仮に、AさんがX銀行の借金を返せなくなった場合は、Y保証会社がX銀行にAさんの借金を一括返済することになります。

そうすると、AさんのX銀行に対する借金は消滅します(ゼロになる)が、AさんはX銀行に返さなかった借金をX銀行ではなくY保証会社に返済しなければなりません。

簡単にいうと、Y保証会社が「X銀行にはお前の代わりに俺が払ってやったんだから、俺に金払えよ」とお金を請求してくるというようなことになります。

Y保証会社がAさんに代わってX銀行に返済することを「代位弁済」といい、Y保証会社がAさんに対して取得する「代わりに払ったお金を返せ」という権利を「求償権」といいます。

契約に保証会社が絡んでいる場合は、保証会社が「代位弁済をする前」と「代位弁済をした後」で自己破産における債権者が異なってきますので注意が必要です。

 

保証会社が代位弁済をする前か後か確認する方法

代位弁済される前であることを確認する方法

まず、保証会社が代位弁済をしているのか、まだしていないのか、確認しなければなりません。

保証会社が代位弁済をするときには通常、代位弁済する前に「代位弁済予告通知書」というような書類が届きます。

これは「お金を返済しなかったら保証会社に代位弁済してもらいますよ」という内容の通知書で、だいたいこんな感じの文章になっていることが多いです。

破産太郎 殿

当社は貴殿に対し金〇万円を貸し付けておりますが、返済期日の平成○年○月○日を過ぎても未だご返済をいただいておりません。今後もご返済をいただけない場合、平成○年○月○日をもって当社の保証会社であるY保証会社より代位弁済を受けることになりますので、ご連絡申し上げます。

株式会社X銀行

なので、この通知書に記載されている「代位弁済の予定日」の前であれば代位弁済の前ということになります。

代位弁済の後であることを確認する方法

「代位弁済予告通知書」が送付されてからも返済せず、そのまま放置しておくとX銀行はY保証会社に「貸したお金をAさんが返してくれないから代わりに払ってよ」と連絡を入れ、Y保証会社がAさんの代わりにX銀行に一括返済することになります。

Y保証会社がX銀行に代わりに返済(代位弁済)すると、Aさんに対して「代位弁済通知書」といった書面が届きます。

これは「代位弁済を行いましたよ」というお知らせであるとともに、「Y保証会社からX銀行に代位弁済がされたから、X銀行の債権は無くなりましたよ。でもそのかわりにY保証会社があなたに対する求償権を取得したので今後はY保証会社から請求が行きますよ」という内容の通知書になります。

この「代位弁済通知書」は代位弁済を受けた方(前述の例でいえばX銀行)から送付されるものと、代位弁済をした方(前述の例ではY保証会社)から送付されるものの2パターンがあります。

代位弁済通知書の記載例はこんな感じのものが多いと思います。

代位弁済通知書の記載例(代位弁済を受けた方が発送するパターン)

破産太郎 殿

当社は、平成○年○月○日、保証会社のY保証株式会社より当社が貴殿に有する下記貸付金債権につき代位弁済を受けましたのでご連絡申し上げます。

株式会社X銀行

代位弁済通知書の記載例(代位弁済をした方が発送するパターン)

破産太郎 殿

当社は、平成○年○月○日、株式会社X銀行が貴殿に対して有する下記貸付金債権につき、保証委託契約に基づく代位弁済を行いましたのでご連絡申し上げます。

Y保証株式会社

 

保証会社が代位弁済した後は、保証会社が債権者となる

保証会社が代位弁済すると、代位弁済され方(前述の例でいえばX銀行)の債権は消滅しますので、代位弁済された方は自己破産の手続きから外れることになります。

代わりに、代位弁済した保証会社が「求償権」を取得しますので、代位弁済した保証会社が自己破産の債権者となります。

ここで注意すべきは、代位弁済されていないのに代位弁済されているものと思って保証会社(前述の例でいえばY保証会社)を債権者として記載してしまうこと、または代位弁済がされているのにされていないと思い込んで元々の債権者(前述の例でいえばX銀行)を記載してしまうことです。

こういう間違いを犯してしまうと債権者が漏れていることになってしまいますから、免責(自己破産で借金の返済が免除されること)を受けても漏れている債権者の借金は免除の対象とならないので自己破産が終わっても返済しなければならなくなってしまいます。

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