個人再生とは?

借金の解決手続きは次の4つにわけられます。

1.任意整理・・・任意整理とは?
2.特定調停・・・特定調停とは?
3.個人再生
4.自己破産・・・自己破産とは?

しかし、借金問題に悩む多くの人は任意整理や特定調停、個人再生や自己破産の手続きなど過去に経験したことはないでしょうから、これらの手続きが具体的にどのような性質を持つものであり、どのようなメリットやデメリットがあるのかといった点は非常に分かり難いのではないかと思われます。

ここでは、この4つのうち「個人再生」の手続きが具体的にどのようなものになるのかといった点について説明してみることにいたしましょう。

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個人再生手続きの概要

個人再生とは、裁判所に申立をすることで借金の総額が基本的に5分の1に減額される手続きです。

減額される限度は100万円までなので、たとえば借金の総額が200万円の場合は5分の1の40万円ではなく100万円までしか減額されません。

裁判所に申し立てをする際には、「再生計画案」というものを提出することが義務付けられており、5分の1に減額された場合の金額を基本的に3年以内(特別な理由がある場合は5年)で分割返済するスケジュールを立てることが求められます。

例えば借金総額が500万円以下の場合は5分の1にすると100万円となるので、この100万円を3年以内で返済するスケジュールを組むことになります(1,000,000円÷36か月=1か月あたり約27,777円)。

提出した再生計画案が裁判所で認められると借金の減額が法的に認められ、提出した再生計画案どおりの返済を行っていくことになります。

 

個人再生手続きのメリット

借金の大幅な減額が見込める

借金が基本的に5分の1にカットされるので、原則として借金の全額を3年から5年で返済していく任意整理や特定調停と比べて大幅な借金の減額が認められるのが個人再生の特徴です。

自宅を手放さずに借金の整理が出来る

住宅ローンがある場合

個人再生手続きには「住宅ローン特則」というものがあり、これを使うと住宅ローン以外の借金だけを5分の1に減額することができます(住宅ローンが5分の1になるわけではありません)。

住宅ローンは従来どおり継続した返済していくことが出来ますので、マイホームを手放すことなく借金の整理が出来ることが特徴です。

住宅ローンを完済済みの自宅がある場合

借金の返済が困難になると最悪の場合、自己破産という選択肢も考えなければなりません。

自己破産手続きは基本的に「清算手続」となりますので、資産として価値のあるものは全てお金に換えて債権者に返済することになります。

一戸建てやマンションの部屋(いわゆる不動産)などがある場合には当然、資産としての価値が認められると思われますので、たとえ住宅ローンを完済しているものであったとしても売却させられることになります(※古い建物や田舎の一軒家など資産価値が認められない不動産については自己破産しても取り上げられないこともあります)。

このように、資産となる自宅がある場合でも個人再生手続きを使えば自宅を手放さずに借金を5分の1に減額させることも可能です。

ただし、自宅の資産価値が大きい場合は、分割返済する金額が5分の1よりも大幅に大きくなることもあります。

なお、ご自宅の資産価値は市役所の固定資産税課で発行してもらう「固定資産評価証明書」に記載されていますので、気になる人は市役所に行って調べてみても良いでしょう(手数料は1,000円ほど・実際の資産価値は固定資産評価証明書に記載されている金額の1.3倍程度と考えてください)。

借金の原因がパチンコや浪費などでも借金の減額が認められる

自己破産の場合には「免責不許可事由」なるものがあり、基本的に借金の原因がパチンコや浪費などの場合には免責(借金返済の免除)が受けられません。

個人再生の場合にはこの免責不許可事由がありませんので、このような原因による借入であっても申し立てが可能です。

 

個人再生手続きのデメリット

信用情報機関に事故情報として登録される

個人再生手続きを申し立てると、信用情報機関に事故情報(「この人は借金の返済が出来なくなっていますから今後お金を貸すのは注意した方がいいですよ」という情報)として通知がなされます(いわゆるブラックリストに載る)。

個人再生の登録機関は5年となっていますので、以後5年間は新たな借り入れやクレジットカードの利用はできないと思った方がよいでしょう。

登録内容と登録期間|日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関

ただし、個人再生を申し立てるほど返済に窮している場合には、借金の返済が遅れている状況と思われますので、借金の返済が滞った時点で既に信用情報機関に事故情報の通知が行われていると思われていますので(個人再生の申し立てをしてもしなくても事故情報として東得されているはず)、この点はあまり気にすることもないでしょう。

官報に住所と名前が載る

個人再生の申立を行うと「官報」という国が発行する新聞のようなものに住所と名前が掲載されます。

官報は日本全国で販売されていますので(※あまり見かけませんが官報販売所という看板を掲げているお店や裁判所などの売店でも買えます。図書館にも置かれています)、自分が借金の返済が出来なくなったことが日本国中にあまねく知れ渡ることになります。

インターネットでも簡単に見ることが出来ます。

インターネット版官報

もっとも、官報を毎号チェックしている人はほとんどいませんから、自分の知り合いに知られることはほぼ100%ないと思って問題ないと思います。

ただし、住所と名前が記載されるため、悪質な業者などが官報に記載されている自己破産や個人再生した人の自宅にダイレクトメールなどを送ってくる場合があるので注意が必要です(送られてくるダイレクトメールは無視しておけば問題ありません)。

自己破産に比べて費用が高額になる

個人再生手続きは自己破産手続きに比べて手続きが複雑となるため、多くの弁護士や司法書士事務所では費用が自己破産の場合と比べて5万円~10万円ほど高額になっています。

司法書士事務所ではおおむね25万円~40万円ほど、弁護士事務所では30万円~50万円ほどが相場といっても良いでしょう。

特定調停手続きは裁判手続の素人でも申立している人は多くいますが、個人再生手続きを自分でやろうとするのは、少々難しすぎると思います(※弁護士や司法書士に頼まず自分で申立しても問題ありません)。

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