自己破産の案件を処理していると、自己破産する人に一定の共通する傾向があるのが分かります。
それは、自己破産する人の多くが自分の収入以上の生活レベルで生活しているということです。
普通の人は自分の収入の増減に従って支出を調整しますから、その時の収入に合わせて贅沢をすることもあれば節約して生活を切り詰めることもあるでしょう。
しかし、自己破産する人の大多数は違います。
自己破産する人の多くは、収入が減少しても贅沢をし続けます。
収入が少なくなっても、生活レベルを元に戻したり、節約をして生活を切り詰めるということができないのです。
その理由は、節約の仕方を知らないということもあるかもしれませんが、一番は「また収入が上がるだろう」と安易に考えていることだと思います。
たとえ収入が減少しても、「頑張ればなんとかなる」と思っている人は大勢います。
しかし、GDPの実質成長率が1%前後しかない現在の日本において、頑張って収入が上がる人は、ごくまれにしか存在しません。
せいぜい公務員ぐらいのものでしょう。
その結果、収入が下がっても生活レベルを下げることができない多くの人は、自己破産をしてしまう結果になります。
毎月の生活費は手取り収入が低い月の金額に合わせるべき
ところで、下の表は毎月の平均月収が20万円の人の月収の推移を例として挙げたものですが、あなたなら何月の月収を基準にして生活するでしょうか?
1月 | 200,000円 |
2月 | 170,000円 |
3月 | 230,000円 |
4月 | 200,000円 |
5月 | 170,000円 |
6月 | 230,000円 |
7月 | 200,000円 |
8月 | 170,000円 |
9月 | 230,000円 |
10月 | 200,000円 |
11月 | 170,000円 |
12月 | 230,000円 |
私なら、2・5・8・11月の収入である170,000円で毎月生活できるよう家計を遣り繰りします。
なぜなら、この会社の基本となる月収は170,000円だからです。
毎月の収入を合計して12で割れば20万円になりますが、それは残業代を含めた金額です。
残業は会社の業績によって増減することがありますから、必ずしも毎年20万円×12の収入があると予測することはできません。
会社の業績が悪くなれば、17万円×12の年収になることもありますから、毎月17万円の生活レベルでやりくりするのが正解です。
生活レベルを毎月の収入のうち、一番低い収入の金額で生活を遣り繰りしておけば、突発的に収入が減少した場合であっても、何ら慌てることなく生活を継続していくことができるでしょう。
一方、この表のような収入で、毎月20万円で生活すると考えた人は自己破産予備軍です。
20万円で生活すると考えた人は、おそらく全体の収入を12で割ってその平均を割り出したのでしょう。
しかし、そのような人は、収入が下がった場合であっても、「すぐに元に戻るだろう」という考えになりやすいです。
このような人は毎月の収入が平均的に20万円手元に入ると予想して生活していますから、収入が減少しても生活レベルを落とすことができず、「また収入が元に戻るだろう」と安易に考えてローンやキャッシングなどを利用しがちです。
ちなみに、上の表で毎月20万円以上で生活すると考えた人は自己破産確定と言っても過言ではありません。
自分の収入が一番高いときに生活水準をあわせており、「頑張れば収入が上がる」と勝手に思い込んでいる節があります。
このような人は、借り入れが増えても、「頑張って残業すればいい」とか「そのうち会社の業績も上がるから大丈夫」と安易に考えて、借金が雪だるま式に増えていく可能性が大です。
以上の判断基準は、あくまでも私の個人的な考えですので、絶対にそうだと言えるものではありません。
ただ、自己破産の処理が終わったときに毎回
「一番低いときの収入に合わせて生活しておけば自己破産しなくてよかったのに」
と思うのは事実です。