「養育費」「扶養料」について
「養育費」や「扶養料」は非免責債権に含まれるため、自己破産が認められた場合であっても免責(支払いの免除が認められること)が認められるわけではありませんが、裁判所における負債の判断は総合的に判断されますので「養育費」や「扶養料」も記載しておく必要があるのです。
「慰謝料」「財産分与」について
「慰謝料」や「財産分与」は、自己破産の免責が認められれば支払いが免除される可能性はありますので記載します。
なお、「慰謝料」についてはその性質によって免責の対象となるかどうか判断が分かれる場合があります。
破産法では「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法253条1項2号)」または「破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権」は「免責不許可債権」と規定されています(破産法253条1項3号)。
例えば誰かを殴ってけがをさせたため慰謝料を請求されているような場合は、「破産法253条1項3号」の損害賠償請求権と考えられますから、たとえ自己破産が認められても、免責(免除)の対象とはならず、慰謝料の支払いは免除されないでしょう。
しかし、例えば浮気が原因で離婚して元妻(元夫)に慰謝料を支払っているような場合には、「浮気をすること自体」は「悪意で(元妻を積極的に害する目的で)加えた」とまで言えるかどうかは難しいと考えられますから、浮気が原因の慰謝料については免責の対象となる余地はあります。
「財産分与」については単に財産として記載する必要があります。
資産説明書の「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」の欄の様式
福岡地裁で使用されている自己破産申立書の資産説明書にある「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」の欄の様式は次のようになっています。
16 養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等について □ない □次のとおり(添付書類:調停・和解調書、審判書、判決書等) □支払うべきもの □受け取るべきもの
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資産説明書の「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」の欄の具体的な記載例
例えば、離婚して子Xの養育費を元妻であるYに毎月5万円支払っており、離婚に際して離婚調停を行っている場合の記載例は次のようになります。
16 養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等について □ない ☑次のとおり(添付書類:調停・和解調書、審判書、判決書等) ☑支払うべきもの □受け取るべきもの
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東京地裁など、資産目録に「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」の欄がない場合
東京地裁など、資産目録に「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」の欄がない場合は、債権者一覧表は資産目録の適宜の欄に記載します。
「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を受け取っている場合
「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を受け取っている場合は、基本的に「資産」と把握されますので、資産目録の「その他、破産管財人の調査によっては回収が可能となる財産」を記載する欄に記載しておけば問題ないでしょう。
「その他、破産管財人の調査によっては回収が可能となる財産」の欄の記載方法についてはこちらのページを参考にしてください。
「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を支払っている場合
「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を支払っている場合は、基本的に「負債」となりますので債権者一覧表に記載しておけば問題ないと思います。
債権者一覧表の記載方法についてはこちらのページを参考にしてください