自己破産の添付書類(2)銀行の預金通帳など

自己破産の申立書には、所有する全ての預貯金口座の通帳の写し(コピー)が必要です。

これは、銀行などの預金口座に入れられているお金は、自己破産する人の資産となるものであり、裁判所(破産管財人)が全体の資産を調べる際に必要となることが理由です。

また、預貯金口座の通帳に記載されている入出金履歴は、過去のお金の流れを如実に反映するものであり、自己破産する人がどのようなお金の出し入れをしたかが明らかにするためにも添付が必要となります(言い換えれば、怪しいお金の動きや資産隠しのような不自然なお金の出し入れがないかを確認するため必要となります)。

そこで、ここでは自己破産申立書に添付する預貯金通帳の写しの作成方法について考えてみたいと思います。

なお、自己破産をすると銀行の預金通帳が取り上げられてしまうかという点については『破産管財人が選任されると何がどうなるの?』のページをご覧ください。

なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。

自己破産申立書作成マニュアル(目次)

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通帳は全てのページのコピーが必要

預金通帳は基本的に全てのページ写し(コピー)が必要です。

全てのページとは、

1 通帳の表表紙・裏表紙(銀行のロゴやイラストなどが書かれている表紙部分)
2 口座番号や支店名の印字されている見開きのページ
3 取引が記帳されている入出金履歴の印字されているページ
4 定期預金のページなど

などの全てのページを意味します。

定期預金がない場合も定期預金のページの写しが必要

定期預金や貯蓄預金のページは、たとえ定期預金や貯蓄預金の取引がない場合であってもその記帳部分の1ページ目は写し(コピー)の提出が必要となります。

これは、定期預金がない場合には、「定期預金がない」ということを証明しなければならないためです。

自分以外の同居者の口座から家賃や光熱費が引き落としされている場合

自己破産の申立書には、家賃や光熱費の金額を証明するための書類の提出が必要となります。

銀行振り込みで家賃や光熱費を支払っている場合には、ATMの振込伝票や領収書などを提出することになりますが、銀行口座の引き落としで家賃や光熱費を支払っているような場合は、通帳の写し(コピー)がそれを証明する書類となります。

そのため、たとえば家賃や光熱費が自分以外の人の口座から引き落とされている場合(たとえば妻や同居の親の口座から引き落とされているような場合)には、その家賃や光熱費の引き落としがなされている妻や同居の親の通帳の写し(コピー)も添付する必要があります。

このように、自分以外の口座から家賃や光熱費の引き落としがなされているような場合は、自分以外の人の通帳の写し(コピー)の提出が必要となる場合がありますので注意が必要です。

なお、光熱費を振込で支払っている場合は、振込伝票など領収書をA4用紙に張り付けてコピーを取ってから、そのコピーを裁判所に提出します。

一括記帳がある場合

通帳の記帳をある程度の期間怠っておくと、その期間の入出金額が合計して印字される一括記帳がなされることがあります。

このように通帳に一括記帳がなされている場合には、その一括記帳がなされている期間の入出金の状態が通帳からは明らかとなりませんから、別途その期間の口座の入出金状況を示す資料を添付しなければなりません。

具体的には、このような場合には、銀行の窓口に行ってその一括記帳がなされている期間の取引明細を発行してもらう必要があります。

したがって、通帳に一括記帳がなされている場合には、その通帳の写し(コピー)とともに、銀行の窓口で発行してもらう取引明細も併せて提出する必要があります。

なお、銀行の窓口で発行してもらう取引明細は、銀行によっては1枚あたり100円~200円の手数料を取られることもありますのでご注意ください。

過去1年分の通帳の写しが必要

通帳の写しは、申立前1年間のものが必要です。

たとえば、平成27年の2月1日に自己破産の申立を行う場合、今使っている通帳の入出金履歴のページに「平成26年2月1日」以前の日付が印字されている場合は、その通帳1冊の写し(コピー)を提出すればOKです。

しかし、その通帳が平成26年2月2日以降の日付から始まっている場合(前の通帳を平成26年2月2日以降に新しい通帳に切り替えていた場合など)には、その通帳には「申立前1年間」の全ての記録が司祭されていないことになりますから、その通帳だけでなく前の通帳の写し(コピー)も添付する必要があります。

通帳は申立前2週間以内に記帳しておくこと

自己破産申立書に添付する通帳(写し)は、自己破産の申立書を提出する2週間以内にATMで記帳しておかなければなりません。

たとえば、自己破産の申立書を裁判所に提出するのが平成27年3月1日であれば、通帳は2月16日以降に記帳したものの写し(コピー)を提出する必要があります。

A4用紙にコピーを取る

裁判所では、申立書などの書類はすべてA4用紙で管理しています。

そのため、通帳のコピーを取る場合にも、A4用紙にコピーするよう心がけると裁判所としては扱いやすいです。

通帳をなくしていたり、捨ててしまっている場合

銀行の口座はあるものの、通帳を紛失してしまっていたり捨ててしまっているような場合は、前述した一括記帳がある場合と同様に銀行の窓口で取引明細の発行をしてもらう必要があります。

過去1年分の取引明細があればよいので、通帳がない場合は自己破産の申立日から過去1年間の取引明細を取得して提出すれば問題ありません。

なお、通帳の再発行を受けるのも良いですが、長い期間記帳しなかった状態で通帳を紛失なり廃棄なりしてしまっているような場合は、結局一括記帳がされることになるかもしれませんので、窓口で取引明細の発行を受けるほうが2度手間にならないと思います。

通帳に個人名の入出金記録が記載されている場合

通帳に個人名での入出金記録が記載されている場合には、その個人名での入出金がどのような理由によるものか、裁判所に説明しなければなりません。

なぜなら、通帳に個人名での入出金記録があると、裁判所が「資産隠しのために振り込みを行ったのではないか」とか「債権者一覧表に記載したもの以外に借金の返済をしているのではないか」とか疑意を持たれてしまうからです。

そのため、通帳に個人名の入出金記録が記載されている場合には、自己破産の申立書とは別に、上申書を作成してその個人名が記載されている事情を説明する必要があるでしょう。

上申書には、その個人名での入出金が何の理由があってなされたものであるのかを記載しておきます。

なお、具体的な上申書の記載方法については、通帳にネットオークションでのお金の受け渡しが記載されている場合の注意点について解説したこちらのページでご確認ください。

ネットオークションをしている人が自己破産する場合の注意点

その他、わからないことがある場合

通帳のコピー(写し)の取り方は以上のような点に注意すれば問題ないと思います。

以上の説明でもわからないようなことがある場合は、裁判所の破産係に電話をして事務官などに尋ねてみたほうが良いでしょう。

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