自己破産で過払い金が少額しか発生していない場合の対処法

自己破産の申立を予定している場合であっても、借金の一部に過払い金が発生しているようなことがあります。

例えば、貸金業者5社に100万円づつの借金があったとしても、借金を計算し直してみるとそのうち1社の借金は既に完済していて利息の払い過ぎが生じており、その債権者に対しては過払い金の返還請求を行ってお金を返してもらうことができる、というような事例は意外と多く見受けられるのです。

このように借金の一部に過払い金が発生している場合は、自己破産の申立前に過払い金を回収し、その回収した過払い金を”資産”として計上し、自己破産の申立をするのが通常です。

しかし、利息の再計算をすれば過払い金が発生している場合であっても、その金額が数百円程度にしかならない場合には、あえて回収するほどの資産価値があるのか疑問も生じてしまいます。

そこで今回は、自己破産の申立を行う際に、少額の過払い金が発生している場合には、どのような対応をするべきなのか、といった問題について考えてみることにいたしましょう。

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過払い金が”少額”の場合はあえて回収する必要はない

自己破産の申立をする場合であっても、発生している過払い金がきわめて少額の場合には、あえてその過払い金を回収する必要はありません。

なぜなら、発生している過払い金があまりにも少額の場合には、たとえ回収したとしても債権者に行う配当の原資とすることができませんし、回収するだけの費用や労力も無駄になってしまうからです。

過払い金は「債権者から取り戻すことができるお金」ということで自己破産の手続においては「資産」という位置づけになりますから、回収してそのお金を債権者に平等に分配(配当)されるのが通常です。

しかし、たとえ「資産」としての価値があるものであっても、それを回収するために費用が必要であったり、回収するために多大な労力を要するような場合にまで回収を義務付けてしまうと、かえって自己破産の申し立てを行う人に負担を掛けてしまい、ひいては残されている資産を目減りさせてしまうことになりかねません。

そのため、発生している過払い金があまりにも少額の場合には、あえて過払い金を回収する必要は無いといえるのです。

もっとも、何円以下の場合に過払い金の回収が不要となるのかといった金額の基準は各裁判所によって異なるためここで一概に言えるものではありません。

しかし、例えば過払い金が数万円程度しか発生していないような場合には、自己破産する際にあえて回収する必要はなく、自己破産申立書の資産説明書(資産目録)に単に「資産」として計上しておけば問題ないものと思われます。

資産目録(説明書)の作成手順(7)貸金・求償金の欄の記載方法

資産目録の作成手順(17)管財人が回収可能な財産の記載方法

 

あえて回収しなくても破産管財人が代わりに回収してくれる

破産管財人とは、自己破産の手続において自己破産する人が不正なことを行っていない課長さしたり、自己破産する人の所有する財産を調べて回収したりする役割を担う人のことをいいます。

回収されていない財産がある場合には破産管財人が自己破産の申立人に代わって裁判などを起こして回収し、回収したお金を債権者に分配(配当)することになります。

この破産管財人は自己破産の申立を行った後に裁判所が選任する必要があるのですが、数年前までは自己破産の申立を行っても破産管財人が選任されず、裁判官の簡単な審問(裁判所で行われる面接のようなもの)をするだけで自己破産が認められるのが一般的でした。

しかし、ここ数年前から破産管財人が選任される事例も多くなっており、破産管財人が選任された自己破産手続では、破産管財人が積極的に自己破産の申立をした人の資産を回収することが多くなっています。

そのため、自己破産の申立をする前に、あえて自分で過払い金の回収をしなくても、資産説明書(資産目録)に過払い金が発生していることを記載しておきさえすれば、破産管財人が自己破産の手続きの中で過払い金請求をしてくれることも多いのが現状です。

自己破産の申立を予定している人の中で、過払い金の回収するべきか悩んでいる人がいるのであれば、過払い金の回収をしないまま自己破産の申立を行うということも選択肢の一つとして考えるとよいでしょう。

 


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