楽天ポイントやTポイントは自己破産の資産となるか?

自己破産の申立てを行うと、一定の範囲を超える資産は全て裁判所に取り上げられて売却され、売却代金が債権者に分配(配当)されることになるのが通常です。

多くの裁判所では、価格が20万円を超えていたり、価格が20万円を超えなくてもその他の財産と合計して50万円を超えるような財産(資産)がある場合には「資産価値がある」と判断して売却する取り扱いをしていますので、自己破産をする際に20万円(または他の財産と合計して50万円)を超える財産がある場合には、すべて取り上げられると思っておいた方がよいでしょう。

≫ 自己破産で財産が取り上げられる基準は?

ところで、最近ではポイントカードを提示することで買い物をしたときにポイントが付与されるサービスを行っている業者が数多く存在していますが、このポイントカードに付与されている「ポイント」は自己破産における「資産」となるのでしょうか?

企業などが発行しているポイントカードに付与されるポイントは商品の購入代金や購入代金の一部として利用することができますし、インターネット上の換金サイトを経由して現金に変えることも出来ることから現金と同様の価値があると考えられるので問題となります。

ポイントカードのポイントも「資産」となる

結論から言うと、ポイントカードのポイントも自己破産の手続き上「資産」として計上する必要があります。

楽天ポイントやTポイントカードなどメジャーな企業が採用しているポイント制度だけでなく、他の小規模の商店などが発行しているポイントカードに付与されるポイントも商品の購入代金の代わりとして利用することができますので、ポイントカードのポイントも現金と同様の価値があると考えることが可能です。

現金と同様の価値があるのであれば当然、自己破産の手続きとしても「資産価値がある」と判断されるでしょうから、自己破産の申立書には「資産」としてポイントの残高を記載しなければならないでしょう。

 

20万円相当のポイントは「資産」として資産説明書(資産目録)に記載するべき

もっとも、所有しているポイントカードの全てのポイントを「資産」として自己破産の申立書に記載する必要はありません。

数ポイントしか残高がないようなものは数円程度の価値しかありませんから、申立書の資産説明書に記載しても煩雑になるだけで裁判所としてもチェックするのに面倒です。

そのため、通常は20万円相当のポイントが付与されているポイントのみを申立書の資産説明書(資産目録)に記載しておけば問題ないでしょう。

なぜ「20万円」なのかというと、冒頭に記載したとおり20万円以上の資産価値があるものについては裁判所(破産管財人)が取り上げて換価し、債権者に分配することになっているからです。

≫ 自己破産で財産が取り上げられる基準は?

なので、20万円相当の商品と引き換えることができるポイントがたまっている場合には「20万円相当の資産がある」と考えて資産説明書(資産目録)に記載するようにし、20万円相当のポイントがないポイントについては記載する必要はないと思います。

 

ポイントを申立書のどこの欄に記載するか

自己破産の申立書にポイントを記載するべきとはいっても、自己破産の申立書はポイントカードのポイントが資産となることを想定して作られていませんから、ポイントの残高を記載する欄は設けられていません。

そこで、どこにポイントの残高を記載するかが問題となりますが、例えば東京地裁で使用されている申立書の場合は資産目録に「破産管財人の調査によっては回収が可能となる財産」という欄が設けられていると思いますので、そこに記載しておけば問題ないでしょう。

≫ 資産目録の作成手順(17)管財人が回収可能な財産の記載方法

≪東京地裁で使用されている資産目録への記載例≫

● その他、破産管財人の調査によっては回収が可能となる財産
*相手方の名前、金額及び時期などを記載します。
*現存していなくても回収可能な財産は、同時破産廃止の要件の認定資料になります。
*債務者又は申立代理人によって回収可能な財産のみならず、破産管財人の否認権行使によって回収可能な財産も破産財団となります。
*ほかの項目に該当しない財産(敷金、過払金、保証金など)もここに記入します。

相手方金額時期備考
楽天株式会社234,567円H21.3月~楽天ポイント
234,567pt分
カルチュア・コンビニエンス
・クラブ株式会社
298,765円H20.8月~Tポイント
298,765pt分
~~~~

 

 

福岡地裁などで使用されている申立書には東京地裁の申立書(資産目録)のように「破産管財人の調査によっては回収が可能となる財産」の欄が設けられていませんので、ポイントを記載するのが少々厄介ですが、「現在処分すれば10万円以上になりそうな動産」という欄が設けられていますのこの欄に記載してもよいのではないかと思います。

≫ 資産目録の作成手順(12)20万円以上の財産の記載方法

≪福岡地裁で使用されている資産説明書への記載例≫

11 現在処分すれば10万円以上になりそうな動産(貴金属(時計・宝石)、骨董品、絵画、家財道具、電化製品等)
□ない
☑次のとおり

品名購入金額取得時期評価額
楽天ポイントなしH21.3月~234,567円
ヨドバシカメラポイントなしH20.8月~345,678円
~~~~

 

 

なお、上記の欄にポイントを書きにくいという場合は、申立書(資産説明書・資産目録)とは別に上申書を作成し、そこにポイントの詳細を記載してもよいのではないかと思います。

≪上申書にポイントカードのポイントを記載する場合の記載例≫

○○地方裁判所 破産係 御中

平成○年○月○日

上申書

申立人 破産太郎 ㊞

ポイントカードのポイントについて

本件自己破産申立書提出時における私の資産は申立書の資産説明書(資産目録)に記載したとおりですが、それらに記載した資産以外にもポイントカードのポイントを下記のとおり保有しております。

ポイントカードのポイントについては資産として計上すべきか争いがあると思われますが、何分ポイントの残高が20万ポイントを超過しており、20万円以上の資産的価値があると判断することも可能かと思いましたので、上申書にてご報告することにいたします。

1. 楽天ポイント / 234,567pt / 234,567円相当分

2. Tポイント  / 298,765pt / 298,765円相当分

3. ヨドバシカメラポイント / 345,678pt / 345,678円相当分

以上

 

※裁判所では全ての用紙をA4で統一していますので、ワードなどの文書作成ソフトで適宜作成した上申書をA4用紙にプリントアウトすると裁判所から喜ばれます。

 

マイレージなども同様に記載する必要がある

以上のように、ポイントカードのポイントが20万円相当分以上あるような場合には、「資産」として自己破産の申立書に記載しなければならないと思われます。

なお、これはポイントカードのポイントだけの話ではなく航空会社のマイレージなども同様と考えるべきと思いますので、マイレージが20万円相当分以上にたまっている場合には、資産として届け出るべきだと思います。

 

実際にポイントが取り上げられるか?

上記のように、ポイントカードのポイントも自己破産の資産として計上しておくべきですが、ポイントカードのポイントまで裁判所や破産管財人が調査を行う可能性はあまり高いとは言えませんし、仮に上記の要領で「資産」として申立書に記載したとしても実際に裁判所がお金に換えて債権者に分配するかというとそこまではしないのではないかとも思われます。

(個人的には過去の案件でポイントを資産として申し立てをしたことはありませんし(もっとも20万円分以上のポイントを貯めている人はそんなにいないし、いてもそのような人は自己破産するほどお金に困っていないと思う)、「ポイントを管財人に取り上げられた」といった話も聞いたことはありません)

そのため、ポイントカードのポイントを自己破産の申立書に記載しなくても問題ないといえなくもないかもしれませんが、20万円相当以上のポイントがあるのにそれを隠して申立てを行い後日裁判所や破産管財人の調査によって明らかになった場合には「なぜ隠したんだ?」と問題にされる可能性がありますので注意が必要でしょう。

 


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