自己破産の添付書類(11)不動産(土地・家)の査定書

自己破産の申し立てをする人が不動産(土地・建物)を所有している場合は、基本的に裁判所に取り上げられて売却され、売却代金が債権者に平等に分配されることになります。

しかし、これはその不動産に資産価値があるような場合の話であって、たとえばその不動産の売却価格が住宅ローンの残額を下回るような場合(いわゆるオーバーローンの場合)は、売却しても債権者に分配できるようなお金は出てこないので、裁判所が取り上げて売却するというような話にはなりません(このような場合は、住宅ローン会社が競売や任意売却することになります)。

このように自己破産の申立をする人が不動産を所有している場合には、裁判所に申立書が提出された段階で、その不動産に資産価値があるのかないのかを裁判所が判断しなければなりません。

そのため、自己破産の申立書には、不動産の市場価格がいくらであるかを説明するために「査定書」を添付して裁判所に提出する必要があります。

資産目録の作成手順(14)不動産(土地・建物)の記載方法

そこで、ここでは自己破産申立書に添付しなければならない不動産の査定書の取得方法などについて考えてみたいと思います。

なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。

自己破産申立書作成マニュアル(目次)

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不動産の査定書

不動産の価格は固定資産評価証明書にも記載してありますが、固定資産評価証明書に記載されている価格は、その不動産の最低価格(最低でもこれくらいの価格で売れるであろうという価格)なので、一般的な市場価格とは異なります。

不動産の一般的な市場価格は、不動産業者に査定してもらわなければわかりませんので、自己破産の申し立てをする際には、不動産業者に査定書を書いてもらってからその査定書を申立書に添付して提出することになります。

査定書の作成をしてもらう不動産業者に制限はありませんので、自分の知り合いの不動産業者などに頼んでも良いですが、その査定額が正当な価格であることを証明するために少なくとも2つ以上の不動産業者で作成してもらう必要があります。

不動産の査定書の添付が必要な場合と必要でない場合

前述したように、自己破産の申立をする人が不動産を所有してる場合には、基本的に不動産業者の作成する査定書を申立書に添付して提出する必要があります。

しかし、査定書の提出が必要となるのは、不動産に市場価格があると判断される場合に限られますので、たとえば所有する不動産がオーバーローになっている場合(住宅ローンの残額がその不動産の固定資産評価額の1.3倍を超えるような場合)には査定書の添付は必要ありません。

これは、不動産(土地・建物)の実際の市場価格(不動産業者を入れて売却する場合の価格)は固定資産評価証明書に記載されている金額の1.3倍以上になることが多いため、住宅ローンの残額が固定資産評価証明書に記載された金額の1.3倍を超える場合には、売却しても債権者に分配されるべきお金が発生しない可能性が高いことから「資産価値がない」ということで査定書の提出も必要ないという取扱いになっていることが理由です。

たとえば、住宅ローンの残額が500万円、固定資産評価証明書に記載されている評価額が1000万円の場合は、500÷1000=0.5(倍)となりますので、このような場合は査定書の添付が必要となります。

一方、住宅ローンの残額が1800万円、固定資産評価証明書に記載されている評価額が1000万円の場合は、1800÷1000=1.8(倍)となりますので、このような場合は査定書の必要はないということになります。

ただし、裁判所によっては固定資産評価額の1.3倍ではなく1.5倍が基準となる場合もありますので、申立前に裁判所に電話するなどして確認しておく方が良いかもしれません。

査定書以外に必要なもの

自己破産する人が不動産を所有している場合には、査定書の他に法務局で発行される登記事項証明書(登記簿謄本)や市役所で発行される固定資産評価証明書の提出も必要です。

自己破産の添付書類(10)登記事項証明書と評価証明書

また、不動産を所有していない場合(同居の家族も含む)には市役所で発行される無資産証明書の提出が必要となります。

自己破産の添付書類(9)無資産証明書とは

 


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