資産目録(説明書)の作成手順(7)貸金・求償金の欄の記載方法

誰かにお金を貸していたら、「お金を返せ」という「請求権」が発生します。

また、誰かに殴られたという場合には、「治療費や慰謝料を払え」という損害賠償の「請求権」が発生します。

このような「請求権」は「お金」を請求できる権利のことですから、これらの請求権は「資産(財産)」となります。

そのため、このような請求権を持っている人が自己破産する場合には、その「請求権」を「資産」として、自己破産申立書の資産説明書(資産目録・財産目録)にある「貸金・求償金・売掛金・敷金・過払い金など」を記載する欄に記載しなければなりません。

そこで、ここでは「貸金・求償金・売掛金・敷金・過払い金など」の欄の記載方法(書き方)について考えてみることにいたしましょう。

なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。

自己破産申立書作成マニュアル(目次)

資産目録の「貸金・求償金など」の欄の様式

自己破産の申立書は、各裁判所によってその様式に若干の違いがあります。

そのため、資産説明書(資産目録・財産目録)の「貸金・求償金など」の欄についても、その様式が各裁判所によって異なっていますが、ここでは、東京地裁と福岡地裁で使用されている様式を参考として挙げておきましょう。

≪東京地裁で使用されている資産目録の「貸金など」を記載する欄の様式≫

5 貸付金・売掛金等
*相手の名前、金額、発生時期、回収見込みの有無及び回収できない理由を記載します。
*金額は回収可能な金額です。

相手方金 額発生時期回収見込回収不能の理由
 年 月 日□有 □無
 年 月 日□有 □無

≪福岡地裁で使用されている資産説明書の「貸金など」を記載する欄の様式≫

6 貸金、保証・名義貸しによる求償金、敷金、損害金及び過払金等の請求権
□ない
□次のとおり(添付書類:金銭消費貸借契約書等)

種類相手方金額発生時期回収見込回収不能の理由
 円 年 月 日□有 □無
 円 年 月 日□有 □無

* 債権者一覧表に保証債務があり、主債務者に代わって支払いをしたことがある場合、主債務者に対する求償金を記載する必要があります。
* 債権者一覧表に名義貸しがある場合、名義を貸した相手方に対する貸付金又は求償金を記載する必要があります。
* 敷金についても記載が必要です。
* 回収不能の理由については、具体的な説明が必要です。

 

「貸金・求償金など」の欄に記載すべき「請求権」とは

自己破産申立書の資産説明書(資産目録・財産目録)にある「貸金・求償金など」の欄に記載すべき「請求権」は、次のようなものがあります。

(1)貸金(貸付金)

まず、貸金(貸付金)が挙げられます。

自己破産する人は「お金を借りている人」ですが、このような人であっても、誰か他の人に「お金を貸している」場合もあるでしょう。

そのような場合、「貸したお金を返せ」と言える権利(請求権)がありますので、「貸金・求償金など」の欄に記載する必要があります。

(2)売掛金

自営業者などの売掛金も「貸金・求償金など」の欄に記載しなければなりません。

売掛金は何かを販売したり、仕事をした場合に発生する代金で未回収のものをいいますが、これら売掛金についても「貸金・求償金など」の欄に記載します。

(3)他人の保証人になっている場合の求償金

誰かほかの人の借金の保証人になっている場合で、その人の代わりに保証人として借金を支払っているような場合には、その借金をした人に対して「代わりに弁済したお金を払え」という権利が発生するので、その支払った金額を記載する必要があります。

例えば、自己破産をする予定のAさんが、友人BさんがX銀行から借りた100万円の借金の保証人になっているとします。友人Bさんが行方不明になったためX銀行はAさんにBさんの借りた100万円の請求を行い、AさんがX銀行に100万円を支払ったとすると、この場合のAさんは行方不明になったBさんに対して「X銀行に支払った100万円を返せ」という「請求権」を持つことになりますから、AさんはBさんに対して「100万円」の「資産」を有するということになります。そのため、Aさんが自己破産する際には、資産説明書(目録)の「貸金・求償金など」の欄にその旨を記載しなければなりません。

(4)借金の名義貸しをしている場合の求償金

誰かほかの人に名義を貸して借金をしている場合において、その借金の返済をしているような場合は、その借金をした人に対して「自分が支払ったお金を返せ」という権利(求償権)が発生しますので、資産説明書(目録)の「貸金・求償金など」の欄にその金額等を記載しなければなりません。

(名義貸しで金を借りられている場合でも、その借りた人の代わりに返済していない場合には求償権は発生しません)

例えば、自己破産を予定しているAさんが、友人のBから「お前の名前で消費者金融のXからお金を借りさせてくれないか」と頼まれたためそれを了承し、BがAさんの名前を騙ってXからお金を借りたとします。Xからすると借主はAと認識していますから、XはAに借金の返済を請求します。AがXの請求に応じて弁済したとしても、Xから借金をしたのはBですから、AはBの借金を代わりに払ったということになりますので、AはBに対して「Bの代わりにXに支払ったお金を返せ」という権利を取得します。このAのBに対する請求権は「資産」となりますから、申立書に資産として記載しなければなりません。

なお、「名義貸し」とは、自分の名前で借金することを認めた場合だけでなく、勝手に自分の名前でお金を借りられてしまった場合なども含まれます。

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