資産目録の作成手順(13)過去2年間に処分した財産の記載方法

自己破産の申し立てに際しては、申し立ての日より過去2年間に売却してお金に換えた財産がある場合は、その内容を記載しなければならないことになっています。

これは、自己破産という手続きにおいては、所有している財産は全て債権者に取り上げられてお金に代えさせられるべきものであるため、自己破産の申立前にその財産を売却してお金に換えることは、その財産を消失させてしまう行為となってしまうからです。

自己破産をする人の財産は、その個人の財産であるとともに「債権者の財産」とも言えることから、その財産の処分してしまう行為が厳しくチェックされることになっているのです。

そこで、ここでは自己破産申立書の資産目録(資産説明書・財産目録)の記載事項のうち、「過去2年以内に処分した財産」の欄の記載方法(書き方)について考えてみることにいたしましょう。

なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。

自己破産申立書作成マニュアル(目次)

資産目録の「過去2年間に処分した財産」の欄の様式

自己破産の申立書は各裁判所によって若干の違いがあります。

ここでは、東京地裁と福岡地裁で実際に使用されている資産目録(資産説明書)を例として挙げておきましょう。

≪東京地裁における資産目録の「過去2年間に処分した財産」の欄≫

● 過去2年間に処分した評価額又は処分額が20万円以上の財産
*過去2年間に処分した財産で、評価額又は処分額のいずれかが20万円以上の財産をすべて記入します。
*不動産の売却、自動車の売却、保険の解約、定期預金の解約、ボーナスの受領、退職金の受領、敷金の受領、離婚に伴う給付などを記入します。
*処分に関する契約書・領収書の写しなど処分を証明する資料を提出します。
*不動産を処分した場合は、処分したことが分かる登記簿謄本を提出します。

財産の種類処分時期評価額処分額相手方使途
 年 月 日
年 月 日

 

≪福岡地裁における資産説明書の「過去1年以内に10万円以上で処分した財産」の欄≫

12 過去1年以内に10万円以上で処分した動産
□ない
□次のとおり

処分時期動産の種類購入金額処分金額相手方(関係)
 年 月 日
 年 月 日

既に処分代金を使ってしまった場合は、使途の内訳を詳しく記載してください。

                        

 

申し立ての何年前までに処分した財産について記載しなければならないか?

上に挙げた様式例を見て分かるとおり、東京地裁と福岡地裁ではその記載すべき財産の価格が異なっています。

東京地裁の申立書では「過去2年間」となっているのに対し、福岡地裁の申立書では「過去1年以内」となっています。

このように、裁判所によって記載しなければならない過去に処分した財産の範囲が異なっていますので、注意が必要です。

 

何円以上で処分した財産を記載しなければならないか?

また、東京地裁の申立書では、処分した財産の価格が「評価額又は処分額が20万円以上」とされているのに対し、福岡地裁の申立書では「10万円以上で処分した」となっています。

このように、裁判所によって記載しなければならない財産の価格が異なっていますので注意が必要です。

なお、東京地裁の申立書では「評価額又は処分額が20万円以上」となっていますから、たとえ処分した時の実際の売却価格が20万円を超えていなくても、当時の評価額で20万円を超えているような場合は記載が必要となることになります(たとえば、当時の一般的な買取価格が25万円の腕時計を持っていたが、お金が早急に必要だったため、買取価格が一般の店より低い自宅の近所にある買取店で19万円で売却したというような場合など)。

一方、福岡地裁の申立書では「10万円以上で処分した」となっていますから、たとえ処分当時の評価額10万円を超えていたとしても、実際に処分した金額が10万円を下回るような場合は記載する必要がないことになります。

 

記載すべき財産の種類(「財産」と「動産」の違い)

上記の様式例を見て分かるとおり、東京地裁の資産目録には「20万円以上の財産」と、福岡地裁の資産説明書には「10万円以上で処分した動産」となっています。

東京地裁では「財産」、福岡地裁では「動産」となっているのですが、この違いが分かるでしょうか?

「財産」とは広い意味での財産ですから、その中には土地や建物などの不動産、銀行預金やボーナス、敷金といった債権(請求権)などすべての資産価値のあるものが対象となります。

一方、「動産」には不動産や債権は含まれません。

そのため、東京地裁の資産目録には貴金属やブランド物のバックなど「動産」だけでなく、土地や建物、敷金などの債権も含めすべての財産を記載しなければなりませんが、福岡地裁の資産目録には貴金属やブランド物のバックなど「動産」だけを記載すればよいことになっています。

このように、各裁判所によって記載しなければならない財産の種類が微妙に異なっていますので、記載する際には注意が必要です。

 

資産目録の「過去2年間に処分した財産」の欄の具体的な記載例

例えば、自己破産の申立書を提出するのが平成27年3月1日の場合に、平成25年4月ごろに当時の評価額が30万円するダイヤのネックレスを28万円でネットオークションで売却し(オークションで買い取った人の名前は山田太郎)、平成26年10月10日に、カメラ専門店(㈱ニコニコカメラ)で買い取り価格が50万円のオリンパスのカメラを50万円で売却し、売却して得た代金は全て生活費に使ってしまったという場合の記載例は次のようになります。

財産の種類処分時期評価額処分額相手方使途
ダイヤのネックレスH25/4月頃30万円28万円山田太郎生活費
オリンパスのカメラH26/10/1050万円50万円ニコニコカメラ生活費
~

 

なお、ネットオークションを利用して自分の持ち物を売却している場合は、こちらのページもご確認ください。

ネットオークションをしている人が自己破産する場合の注意点

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