資産説明書(目録)の作成手順(3)預金・貯金の欄の記載方法

自己破産申立書の資産説明書(資産目録・財産目録)には、銀行預金や郵便貯金なども全て記載しなければなりません。

これは、銀行などの預金は本来すべて取り上げられて債権者に分配されるべきものであることから、裁判所が自己破産に際してはその預金額を正確に把握しておく必要があるためです。

そこで、ここでは自己破産申立書の資産説明書(資産目録・財産目録)における銀行預金や郵便貯金などの記載方法(書き方)について考えていくことにいたしましょう。

なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。

自己破産申立書作成マニュアル(目次)

「預金・貯金」と「現金」の違い

銀行などに預けている「預金」や「貯金」と、財布に入っている「現金」の区別が分からない人も多いようなので、ここで「預金・貯金」と「現金」の違いを説明しておきましょう。

「預金」や「貯金」も自分が自由に引き出して使用できるので、「現金」と同じように考えることもできます。

しかし、「現金」は「今自分が持っている紙幣と硬貨」のことであって、すぐに貨幣として使用することが出来るものです。

これに対して、「預金・貯金」は、銀行に対して「自分の口座に入金しているお金」を「返せ」ということが出来る請求権にすぎません。

銀行にお金を預けるということは、銀行から「口座」をレンタルして、その「口座」に自分のお金を「預け」て、銀行がそのお金を「保管」しているという状態のことです。

この状態では、お金を預けている人は銀行に対して「預金債権(預金として預け入れているお金の払い戻しを受ける権利)」を有している状態になっています。

そして、口座からお金を引き出すということは、銀行に対して「あなたが保管している私のお金を私に返してください」ということであり、これは、預金債権を行使しているということになります。

それに対して銀行が「分かりました、あなたから預かっているお金を返しましょう」と応じてお金を本人に返すことで初めて預金債権が消滅し、「現金」を手にするということになります。

このように、「預金」は「預金債権」であって「現金」とは異なる性質ものとして理解する必要があります。

 

資産説明書に記載すべき「預金・貯金」とは

資産説明書(資産目録・財産目録)に記載すべき「預金・貯金」には、銀行の預金やゆうちょ銀行の貯金だけでなく、農協や信用組合などの預金も含まれます。

その他にも、証券会社に口座を開いてお金を証券口座に入金している場合などで、株を購入した余りのお金などは「預金」として資産説明書に記載しなければなりません(※購入した「株式」については「有価証券」の欄に記載します)。

 

預金額が「0円」であっても記載しなければならない

なお、たとえ預け入れしている金額が「0円」であったとしても、その口座が存続している(解約していない)状態であれば、その口座は全て資産説明書(資産目録・財産目録)に記載しなければなりません。

 

他の都道府県の銀行の口座も全て記載しなければならない

例えば、東京の裁判所に自己破産の申立する場合には、東京に本店や支店がある銀行だけでなく、東京に支店のない銀行の口座であっても記載する必要があります。

例えば、大阪の地方裁判所に申し立てをする場合であっても、仙台銀行や熊本銀行に口座がある場合にはその口座も全て記載する必要があるので注意してください。。

 

過去2年以内に解約した口座であっても記載しなければならない場合がある

資産説明書(資産目録・財産目録)に記載しなければならない預金口座は、基本的に現在生きている口座(解約していない口座)を記載しておけば問題ありません。

しかし、東京地方裁判所などで使用されている申立書では、解約している口座であっても、それが「過去2年以内」に解約した口座である場合には資産目録に記載しなければならないとされています。

福岡地裁や新潟地裁などで使用されている資産説明書(資産目録)では解約している口座については記載を求められていませんので記載する必要は基本的にありませんが、東京地裁など他の裁判所では記載が義務付けられている場合もありますので注意が必要です。

なお、自己破産の申し立ての直前に口座を解約するのはやめた方が無難です。

申立の直前に解約したりすると、裁判所から「何か怪しいお金の動きがあったから解約したのではないか?」とあらぬ疑いを抱かれてしまい、自己破産の手続きがうまく進まなくなったりする可能性があります。

自分が持っている口座は、全て隠さずに資産説明書(資産目録・財産目録)に記載することを忘れないようにしておきましょう。

 

資産説明書の「預金・貯金」の欄の様式

資産説明書(資産目録・財産目録)の「預金・貯金」の欄の様式は、各裁判所の申立書によって若干の違いがあります。

ここでは、東京地裁と福岡地裁で使用されている資産説明書(資産目録)の「預金・貯金」を記載する欄の様式を挙げておきましょう。

≪東京地裁の資産目録の「預金・貯金」の欄の様式≫

2 預金・貯金*解約の有無及び残額の多寡にかかわらず各通帳の表紙を含め、過去2年以内の取引の明細が分かるように前ページの写しを提出します。

金融機関・支店名口座の種類口座番号申立時の残高

≪福岡地裁の資産目録の「預金・貯金」の欄の様式≫

2 預金、貯金口座(残額がない場合も記載してください)
□ない
□次のとおり(添付書類:預貯金通帳の写し) 合計金   円

番号金融機関・支店名
口座番号
口座の種類最後に
記帳した日
残高
□普通 □定期
□貯蓄 □その他
□普通 □定期
□貯蓄 □その他

※福岡地裁の資産説明書にある「最後に記帳した日」の欄には、通帳を記帳した最後の日付を記載します。なお、自己破産の申立書には預貯金口座の通帳の写し(コピー)を添付しなければなりませんが、その際は申立の2週間前に記帳した通帳の写しを添付しなければなりません(これは福岡地裁以外の裁判所でも同様ですので注意が必要です)。

 

資産説明書の「預金・貯金」の欄の具体的な記載例

例えば、A銀行の渋谷支店に口座(普通・口座番号1234567)に256円、B銀行の札幌支店の口座(定期預金・口座番号9876543)に20万円、C証券の証券口座(特定口座・口座番号7777777)に30万円を入金したがX株式会社の株を28万円で現物購入している(購入余力が2万円)という場合(記帳日は全て平成26年の8月1日)の「預金・貯金」の欄の記載例は次のようになります。

≪東京地裁の資産目録の「預金・貯金」の欄の記載例≫

金融機関・支店名口座の種類口座番号申立時の残額
A銀行・渋谷支店普通1234567256円
B銀行・札幌支店定期9876543200,000円
C証券特定777777720,000円

≪福岡地裁の資産目録の「預金・貯金」の欄の記載例≫

2 預金、貯金口座(残額がない場合も記載してください)
□ない
☑次のとおり(添付書類:預貯金通帳の写し) 合計金220,256円

番号金融機関・支店名
口座番号
口座の種類最後に
記帳した日
残高
A銀行・渋谷支店
1234567
☑普通 □定期
□貯蓄 □その他
H26/8/1256円
B銀行・札幌支店
9876543
□普通 ☑定期
□貯蓄 □その他
H26/8/120万円
C証券
7777777
□普通 □定期
□貯蓄
☑その他(特定)
H26/8/12万円

※C証券で購入した28万円の株については「有価証券の欄」に記載します。C証券には30万円預け入れていたので、残りの2万円を「預金」として記載することになります。

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