自己破産申立書には、税金の滞納分などを記載する「公租公課用」の債権者一覧表が設けられている場合があります。
税金などの公租公課は、自己破産の手続における免責(支払いの免除が受けられること)の対象となりませんので、自己破産が認められてもその滞納分も含めすべて支払わなければなりません。
しかし、税金などの公租公課が免責の対象にならない債権であるとはいっても、裁判所が自己破産の全体を把握するためには、公租公課の金額を把握することが必要ですし、公租公課であっても債権であることは他の借金と同じですから、自己破産の申立書に記載して裁判所に説明しておくことが求められているのです。
そこで、ここでは、この公租公課一覧表の記載方法について考えてみることにしましょう。
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「公租公課」とは?
「公租公課」とは、簡単にいうと税金など公的に支払わなければならないお金のことです。
代表的なものとしては住民税や市民税がありますが、国民健康保険や国民年金の保険料なども「公租公課」に該当します。
このような税金などの公租公課に滞納がある場合には、その滞納分がいくらであるかということを自己破産の際に裁判所に申告しなければなりません。
税金などの公租公課は自己破産における免除の対象とはなりませんので、仮に自己破産が認められた場合であっても後で滞納分を支払わなければなりません。
しかし、自己破産の申し立ての際には、他の借金と同じ「負債(払わなければならないけど払っていないお金)」ということで裁判所に申告しなければならないのです。
公租公課一覧表の様式
公租公課一覧表の様式は裁判所によって異なりますが、一般的には次のようなものになります。
公租公課一覧表 | ||||||
番号 | 税官署名 | 郵便番号 | 住所 | 税目 | 債務額 | 備考 |
〇 | ||||||
〇 |
公租公課一覧表の具体的な記載例
「番号」の欄の記載方法
「番号」は、上から順に1、2、3と記載していけばOKです。
「税官署名」の欄の記載方法
「税官署名」には、その税金などを納めるべき官庁名を記載します。具体的には税金や健康保険の納付書や請求書に記載されている発送先を記載すればよいでしょう。
「郵便番号」の欄の記載方法
「郵便番号」の欄には、「税官署名」の欄に記載した官公署の所在地の郵便番号を記載します。
郵便番号は納付書や請求書に記載されていると思いますが、記載がない場合は郵便局のサイトで調べてから記載しておきましょう。
「住所」の欄の記載方法
「住所」の欄は「税官署名」の欄に記載した官公署の所在地を記載します。
官公署の所在地は納付書や請求書に記載されていると思いますが、記載がない場合は事前にネットで調べるか官公署に電話するなどして確認しておきましょう。
「税目」の欄の記載方法
「税目」の欄には、その滞納が何の滞納なのかを記載します。
例えば、住民税を滞納しているなら「住民税」、軽自動車税を滞納しているなら「軽自動車税」、国民健康保険を滞納しているなら「国民健康保険」、国民年金を滞納しているなら「国民年金」といった具合に記載します。
「債務額」の欄の記載方法
「債務額」の欄には、滞納しているその税目の滞納総額を記載します。
延滞金が付いている場合は延滞金も含めた金額で問題ないでしょう。
「備考」の欄の記載方法
「備考」の欄には、特別な事情がある場合に記載します。
特別な事情とは、たとえば税金の滞納に対して税務署が差押をしているような場合などが考えられます。
税金等の滞納分について、当初の納付時期を変更して新たな分割納付の話し合いを官公署と行っている場合などは、その分割納付のスケジュールなどを記載するなどした方がよいでしょう。
公租公課一覧表の具体的な記載例
公租公課一覧表の具体的な記載例はこのような感じになります。
公租公課一覧表 | ||||||
番号 | 税官署名 | 郵便番号 | 住所 | 税目 | 債務額 | 備考 |
1 | 〇〇市役所 | *** | 〇市〇町… | 市民税 | ○万円 | 特になし |
2 | 日本年金機構 (〇年金事務所) | *** | 〇市〇町… | 国民年金 | ○万円 | 〇〇年金事務所で 分割協議中 |
3 | 〇〇市役所 | *** | 〇市〇町… | 健康保険 | ○万円 | 〇〇市役所で 分割協議中 |
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