陳述書の作成手順(2)職歴の欄の記載方法

自己破産申立書の報告書(陳述書)の最初の項目にある「申立人の経歴等」には、過去の職歴や収入、家族関係や居住実態などを記載します。

この「申立人の経歴等」の第1項にある「職歴」の欄については、自己破産の申立をするときから遡って記載するだけですが、慣れないと書き方がイマイチピンと来ないかもしれません。

そこで、ここでは自己破産申立書の報告書(陳述書)の「申立人の経歴等」の第1項「職歴」の記載方法について考えてみることにいたしましょう。

なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。

自己破産申立書作成マニュアル(目次)

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報告書(陳述書)の「職歴」の欄の様式

自己破産申立書の報告書(陳述書)にある「申立人の経歴等」の第1項にある「職歴」については、裁判所によって若干の様式が異なりますが、一般的には次のような様式のものが多いと思います。

≪様式例≫

第1 申立人の経歴等
1 職歴(現在から申立の7年前まで)

就業期間
就業先(会社名等)
種別
地位・業務の内容
平均月収
(円)
 年 月 ~ 現在□務め □パート □自営 □法人代表者
□無職
 年 月 ~ 年 月□務め □パート □自営 □法人代表者
□無職
年 月 ~ 年 月□務め □パート □自営 □法人代表者
□無職

年 月 ~ 年 月

□務め □パート □自営 □法人代表者
□無職

※裁判所によっては、「返済月額」や「配偶者の収入」なども記載する様式のものが使用されている場合もあります。

 

報告書(陳述書)の「職歴」の具体的な記載方法

それでは、「申立人の経歴等」の第1項「職歴」の具体的な記載方法についてみていきましょう。

「就業期間」の記載方法

「就業期間」は過去に務めていた会社などでの就業期間を現在から遡って記載していきます。

例えば、高校を卒業してすぐに就職したあと3年後に退職、その後3か月間の求職期間を経て退職から3か月後に新しい職場で働きだして現在に至っているような場合には、①「現在から現在の職場に就職したときまでの期間」、②「現在の職場に就職したときからその前の職場を退職したときまでの期間」、③「前の職場を退職したときから前の職場に就職したときまでの期間」の3つの期間を記載するようになります。

無職の期間(前述の例でいえば前の職場を退職して新しい職場に就職するまでの求職中の期間)がある場合には、「無職」としてその無職の期間を記載することを忘れないように注意が必要です。

なお、仕事を掛け持ちしているような場合には、そのすべての就業期間を記載する必要があります。

なお、裁判所の様式によっては「現在から申立の7年前まで」と記載されているものがありますので、そのような申立書の場合には7年前まで遡れば問題ありません。

「現在から申立の7年前まで」の記載がない申立書の様式の場合は、学校を卒業した年まで遡って記載しなければなりません。

「就業先(会社名等)」の記載方法

「就業先(会社名等)」の欄は、その当時勤めていた会社の名前を記載します。

派遣社員の場合は、実際に働いている派遣先の会社ではなく、派遣元の会社名を記載します。

自営業の場合は屋号でも構いません。

「種別」の欄の記載方法

「種別」の欄は「正社員」「パート(アルバイト)」「派遣社員」「自営」「法人代表者」などの別を「□」にチェック(☑)を入れて表示します。

「正社員」の場合は「勤め」にチェック(☑)を入れておけばよいでしょう。

なお、「法人代表者」とは会社の取締役などを意味します。「社長」であってもそれが会社形態になっていない場合(株式会社や有限会社などではない場合)などいわゆる「一人親方」の場合には「自営業」になります。

「地位・業務の内容」の欄の記載方法

「地位・業務の内容」の欄には、その当時の仕事上の役職や業務の内容を記載します。

例えば、中華料理屋さんの料理人なら「中華料理店・調理」、自動車部品工場での作業員なら「自動車部品製造・工場作業員」などと記載します。

工場長なら「工場長」、料理長なら「料理長」と付け加えた方がいいかもしれませんが、裁判所に職種や業務内容が分かる記載方法ならどのような記載方法でも問題ないと思います。

「平均月収」の欄について

「平均月収」の欄には、その当時の平均的な月収を記載します。

月ごとに収入が異なる場合も多いと思いますが、おおよそ平均的な金額を書いておき場問題ないと思います。

自営業者などは特に月ごとで金額が異なる場合も多いと思いますので、毎月の平均的な月収を記載しておきましょう。

なお、無職の場合には「0円」と記載するのが通常ですが、失業保険を受け取っている場合は実際に受け取っていた失業給付の金額を記載して「(失業給付)」などと付言しておくとよいでしょう。

また、年金生活者の場合も「年金」と付言したうえで受け取っている年金額を記載すればよいでしょう。

 

報告書(陳述書)の「申立人の経歴等」の欄の具体的な記載例

最後に、例題を参考にして「申立人の経歴等」の欄の具体的な記載例を挙げておきます。

【例題】

平成元年の4月に生まれ、平成20年3月に高校を卒業。高校卒業と同時に㈱東京システムに入社、業務はSEで月収は月15万円。就職して3年後の平成23年7月末に会社が営業不振のため大規模なリストラを行い退職、同年10月に㈱にこにこ旅行に営業職として就職(月収13万円)し現在に至る。求職中の2か月間は失業給付(金額は約11万円)を受けていた。

 

【記載例】

就業期間
就業先(会社名等)
種別
地位・業務の内容
平均月収
(円)
現在~H23年10月
㈱にこにこ旅行
☑務め □パート □自営 □法人代表者
□無職 (旅行業・営業職)
約13万円
H23年10月~同年8月
無職
□務め □パート □自営 □法人代表者
☑無職 (失業給付)
約11万円
H23年7月~H20年4月☑務め □パート □自営 □法人代表者
□無職 (IT企業・SE)
約15万円
 年 月 ~ 年 月□務め □パート □自営 □法人代表者
□無職

※なお、転職の回数が多く欄に書ききれないような場合は、「書き切れないので別紙に記載」などと記入したうえで、別途A4用紙に適宜に欄を設けて記載して提出しましょう。

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