自己破産の申し立てを行うと、所有している自動車やバイクがどのような取り扱いを受けてしまうのか気になる人も多いと思います。
趣味の範囲内で車を所有している場合はまだしも、通勤や通学、介護といった必要不可欠な事情で車を所有している人にとっては、自己破産することによって車を取り上げられてしまっては、生活自体が成り立たないという人もいるのが現状でしょう。
そこで今回は、自己破産の申し立てを行った場合に所有する車やバイクはどうなるのか、という問題について考えてみることにいたしましょう。
※なお、自動車保険がどうなるかという点についてはこちらのページをご覧ください。
全ての車やバイクが取り上げられるものではない
自己破産する人が自動車やバイクを所有している場合、自己破産の申立後に裁判所から選任された破産管財人がその車やバイクを取り上げて売却し、そこで得られたお金を各債権者に分配(配当)することになるのが原則です。
≫資産目録(説明書)の作成手順(11)自動車・バイクの記載方法
※ただし、ローンが残っている場合は裁判所ではなくローン会社などが引き上げて売却することになります。
そのため、もし自己破産を予定している人が車やバイクを所有している場合は、基本的に裁判所から取り上げられると思っておいた方がよいでしょう。
※なお、自分の名義になっている場合だけでなく、他人名義の車やバイクであっても取り上げられる場合があるので注意が必要です。
もっとも、すべての車やバイクが取り上げられるわけではありません。
裁判所(破産管財人)が取り上げて売却しても二束三文にしかならないようなボロ車やボロバイクなど、資産価値のないような車やバイクは売却してもお金になりませんので取り上げられることはありません。
資産価値があるかないかという点は各裁判所で判断が異なるので一概には言えませんが、多くの裁判所では一定の基準に従って資産価値の有無を判断していますので、次からその基準を順に説明していくことにいたしましょう。
原則として取り上げられる場合
(1)初年度登録から5年未満の車・バイク
初年度登録から5年を経過していない自動車やバイクを所有している場合は、基本的にその自動車やバイクは裁判所(破産管財人)に取り上げられることになります。
初年度登録から5年を経過していない自動車やバイクは比較的高い値段で売却することができるため、裁判所が取り上げて換価し、売却代金を債権者に分配(配当)することになるのです。
逆に言えば、初年度登録から5年を経過した自動車やバイクについては裁判所から取り上げられることはないということになります。
たとえば、2010年式のトヨタプリウスを2011年の5月に車検登録して所有している人が、2016年の5月に自己破産の申立を行う場合は初年度登録から5年を経過していないので裁判所から取り上げられることになりますが、2016年6月に自己破産の申し立てをする場合には取り上げられないことになります。
「たった1か月で取り上げられたり取り上げられなかったりするのはおかしいではないか?」と思うかもしれませんが、どこかで線引きをしないといけないので、多くの裁判所では「初年度登録から5年」というところで資産価値の有無を判断することになっています。
もっとも、後述するように、初年度登録から5年を経過した場合であっても、排気量が2500cc以上ある自動車であったり、外国車や売却すると10万円以上になる可能性がある車やバイクについては取り上げられることもありますので注意が必要です。
(2)排気量が2500cc以上の自動車
排気量が2500cc以上ある自動車については、原則として裁判所から取り上げられることになります。
注意点は、初年度登録の時期にかかわらず排気量が2500cc以上の自動車についてはすべて取り上げの対象となる点です。
前の項で初年度登録から5年を経過した自動車やバイクは基本的に裁判所が取り上げることはないと解説しましたが、排気量が2500ccを超える場合には初年度登録から5年を経過した場合であってもすべて取り上げられることになります。
排気量が2500cc以上の自動車は、比較的高額で売却することができるため、かなりの年数がたった場合であっても資産価値があると判断されるためです。
(3)外国車
外国車は自己破産の申立をすると全て取り上げられるのが基本です。
そして、外国車の場合も初年度登録から5年を経過した場合であっても取り上げられるので注意が必要となります。
外国車は年数がたったものでも比較的高額で売却することができるため基本的に裁判所が取り上げて売却するということになっているのです。
これは、自動車だけでなくバイク(単車)についても当てはまるので、ハーレーやドゥカティ、BMWなどに乗っている人は初年度登録からの期間に関係なく取り上げられると思っておいた方がよいでしょう。
(※ただし外国製であっても中国や韓国などのバイクは売却しても値段が付かない場合が多いので取り上げられることはないものと考えられます)