自動車やバイクは基本的に売却すればお金に換えられる資産と考えられますから、自己破産の申立書には自分が所有する自動車やバイクに関する書類を添付しなければなりません。
≫資産目録(説明書)の作成手順(11)自動車・バイクの記載方法
具体的には、
① 自動車やバイクの車検証(400cc未満のバイクについては登録証)
② 自動車査定書
の2通をコピーして自己破産の申立書に添付する必要がありますが、その書類の集め方には若干の注意する点があります。
そこで、ここでは自己破産申立書に添付することが必要となる自動車やバイクに関する書類の収集方法などについて考えていくことにいたしましょう。
なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。
車検証・登録証
自己破産する人が自動車やバイクを所有している場合は、その所有する自動車やバイクの車検証をコピーして自己破産の申立書に添付しなければなりません。
ただし、400cc未満のオートバイについては車検が必要ないことから車検証が存在しませんので、自賠責保険を受けた際の登録証などをコピーして添付しておけばOKです。
自動車査定書
前述したとおり、自動車やバイクは基本的に資産としての価値があると考えられますから、裁判所にその自動車やバイクが現状でいくらの価値があるか(時価)を調べて報告する必要があります。
そのため、自己破産の申立をする前に、所有する自動車やバイクを中古車販売店などに持ち込んでいくらで買い取ってもらえるかを調べるとともに、査定書を書いてもらいましょう。
査定書に記載された査定額が、裁判所が資産として把握するその自動車(バイク)の資産価値の価額となります。
すなわち、この査定書に記載された金額が20万円を超えるような場合は、基本的に破産管財人が売却し、売却して得たお金が債権者に分配されることになります。
逆にいえば、査定額が20万円を超えないような自動車やバイクは「資産価値がない」と判断される可能性が高いため、取り上げられる可能性は低くなるといっていいでしょう。
ちなみに、自己破産を申し立てる側にとっては「資産価値がない」と判断される方が得なので、中古車販売店に自動車やバイクを持ち込む時は、(変な言い方ですが)査定額が低くなるように努力してください。
間違っても、中古車販売店に持ち込む前に洗車したり、小さな傷を治したりしないようにしましょう。
自動車やバイクをきれいな状態にして持ち込むと査定額が高くなって裁判所に取り上げられる可能性が高まりますので、なるべく査定額が低く見積もられるような状態で査定してもらうようにしてください。
ただし、査定額を低くさせるために、車に傷をつけたりするのはNGですので注意してください(※傷をつけたりすると、資産価値を減少させる行為として免責不許可事由(自己破産で借金の免除が認められないこと)に該当してしまう可能性があります)。
なお、自動車やバイクを取り上げられないようにするためには「自由財産の拡張」という手続きが必要になります。
自由財産の拡張手続についてはこちらのページでレポートしていますので、気になる方はそちらを参考にしてください。
≫ 自由財産の拡張の方法 – 自由財産拡張申立書と上申書の記載例
査定書は2か所以上の中古車販売店で書いてもらう必要がある
自動車査定書は、2か所以上の中古車販売店などで書いてもらう必要があります。
裁判所では、複数の査定書を参考にそのうち一番高い査定額を資産の価額として認定していますので、必ず2か所以上の中古車販売店で査定してもらい、2通以上の査定書を裁判所に提出するようにしてください。
自動車査定書が必要な場合
査定書が必要となる自動車やバイクは、各裁判所によってその取扱いに若干の違いがあります。
一般的な裁判所では
① 初年度登録から5年以内
② 2500cc以上
③ 外車
の場合には査定書の添付が必要となっています。
このような裁判所では、初年度登録から5年以上経過した自動車については査定書の添付は原則として必要ありませんが、排気量が2500cc以上あったり、外国車である場合にはたとえ初年度登録から5年以上経過している場合であっても査定書の添付が必要となります。
この取扱いは、各裁判所によって取扱いが異なりますので、申立前に裁判所に電話をして、そのような自動車やバイクについて査定書が必要となるか確認しておく方が良いかもしれません。
※自己破産する場合に所有している自動車やバイクがどうなるかについてはこちらのページでも説明していますので参考にしてください。
他人の名義となっている自動車でも車検証や査定書が必要となる場合
自己破産の申立書に添付が必要となる車検証や査定書は、基本的には自己破産を申し立てる人の名義となっている自動車やバイクについて必要です。
しかし、他人の名義になっている自動車やバイクであっても、実質的には自分の所有する自動車やバイクと言えるような場合(たとえば、自分のお金で購入したものの便宜的に同居の家族の名義にしているような場合)には、自分の資産といえるので、そのような場合には他人の名義となっている自動車やバイクであっても車検証や査定書の添付が必要となります。