なお、福岡地裁など「裁量免責事由があることを申告する欄」が設けられていない陳述書が使用されている場合があります。
このような場合は申立書とは別に「上申書」を作成し、申立書の内容を補足するようにしましょう。
「書く欄がないから書かない」としてしまうのも間違いではないですが、免責不許可事由がある場合は免責されないというのが基本的な取扱いになっています。
免責不許可事由がある場合に何もせずに裁判所の判断にゆだねる方がよいか、「上申書」で率先して弁明して裁判所に自分の窮状を理解してもらう方がよいか、個人的には後者の方が免責になる可能性は格段に高くなると思います。
「裁量免責事由があることを申告する欄」の具体的な記載例
例えば、会社でイジメを受けたことからその気晴らしに収入の範囲を超えて夜の街で飲み歩くようになり、その後リストラで会社を解雇されたため借金を重ねるようになった人が、母親の手術費用のねん出のためブランド物のバックを購入してすぐに現金化してしまったというような事例を考えてみましょう。
この事例では、まず収入の範囲を超えて飲み歩くことが「浪費」として免責不許可事由に該当し、また、ブランドものバッグを購入してすぐに売却し現金に換えたことも「債権者に不利益な処分」として免責不許可事由に該当します。
このような事例を実際に「裁量免責事由がある旨を申告する欄」に記載する場合には、次のような記載になります。
問8 本件において免責不許可事由があるとされた場合、裁量免責事由として考えられるものを記載してください。
前述したとおり、借金増大の理由として飲食がございますが、これは当時働いていた会社でイジメに遭ったことが原因でございます。 お酒を飲んでいるときは会社であった嫌なことも忘れられることから飲食がやめられなくなりました。
イジメに遭っていたからと言ってお金を借りてまで飲み食いに使うことが正当化されるわけではありませんが、当時の自分は飲まなければ自分がどうにかなってしまうような恐怖がございました。
自分の弱さからお酒におぼれてしまったことおよび借り入れたお金を飲食に使用してしまったことは深く反省すべきとは理解しておりますが、このような事情があったことについては裁判所においてもご一考していただきたくお願い申し上げる次第です。
また、過去にブランド物のバッグを現金化した事実がございますが、これは母の手術費用の捻出にお金が必要だったからでございます。
当時の私はリストラで会社を解雇され生活費の不足から借金も大きく膨れ上がった時期でございました。
そんなときに母から手術費用が足りないとの連絡をうけたのですが、キャッシングは限度額一杯まで借りていたため追加で借り入れすることが出来なくなっておりました。
そのような折「クレジットカードの現金化」と書かれ広告に電話を入れて担当者に言われるままにブランド物のバッグを購入し、現金化するに至った次第です。
もちろん、母の手術費用のためとはいえ債権者様を欺いて商品を購入し現金化したことは責められてしかるべき点ではございますが、このような窮状があったことについては裁判所及び債権者様におかれましてもご理解ただきたくお願い申し上げる次第です。
なお、この記載例を上申書に書いた場合には次のような感じになります。
〇〇地方裁判所破産係 御中 平成〇年〇月〇日
上申書
申立人 破産太郎 ㊞
免責不許可事由があることについて
本件自己破産申立においては免責不許可事由がございますが、下記のような事情がございますので裁判所の裁量免責を承りたく上申いたします。
1 飲食があることについて
借金増大の理由として飲食がございますが、これは当時働いていた会社でイジメに遭ったことが原因でございます。
お酒を飲んでいるときは会社であった嫌なことも忘れられることから飲食がやめられなくなりました。
イジメに遭っていたからと言ってお金を借りてまで飲み食いに使うことが正当化されるわけではありませんが、当時の自分は飲まなければ自分がどうにかなってしまうような恐怖がございました。
自分の弱さからお酒におぼれてしまったことおよび借り入れたお金を飲食に使用してしまったことは深く反省すべきとは理解しておりますが、このような事情があったことについては裁判所においてもご一考していただきたくお願い申し上げる次第です。
2 クレジットカードの現金化について
ブランド物のバッグを現金化した事実がございますが、これは母の手術費用の捻出にお金が必要だったからでございます。
当時の私はリストラで会社を解雇され生活費の不足から借金も大きく膨れ上がった時期でございました。
そんなときに母から手術費用が足りないとの連絡をうけたのですが、キャッシングは限度額一杯まで借りていたため追加で借り入れすることが出来なくなっておりました。
そのような折「クレジットカードの現金化」と書かれ広告に電話を入れて担当者に言われるままにブランド物のバッグを購入し、現金化するに至った次第です。
もちろん、母の手術費用のためとはいえ債権者様を欺いて商品を購入し現金化したことは責められてしかるべき点ではございますが、このような窮状があったことについては裁判所及び債権者様におかれましてもご理解ただきたくお願い申し上げる次第です。
以上