自己破産申立書の陳述書に記載しなければならない「作文」には、借金を始めてから自己破産を決意するまでの借入や返済の状況、その借金を何に使ってどのような生活を送っていたかなどを時系列で記載することが必要です。
しかし、初めて書く人にとっては、どういう風に作文を記載すればよいか迷う人も多いでしょう。
そこで、ここでは実際に陳述書で記載しなければならない作文を、例として書いてみることにいたしましょう。
なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。
陳述書の作文例
このページで作成する作文例で登場する債権者の借入日や債権額(債務額)は以下のような債権者一覧表に記載されたものである場合を想定するものとします。
番号 債権者名 住所 借入・購入等の日 債務額 1 A銀行 (省略) H18/4~H26/8 420,000円 2 Bローン (省略) H20/10月 580,000円 3 Cクレジット (省略) H23/12~H26/8 860,000円 4 D信用組合 (省略) H26/1~H26/10 480,000円 5 X (省略) H26/1月ごろ 300,000円
自己破産申立書の陳述書の作文例
平成18年4月ごろ 当時、私は、㈱ほにゃららシステムという会社で働いておりました。毎月の給与は手取りで20万円ほどありましたので、普通に借金することなく生活が出来ておりました。
そんなある日、会社の同僚に列車の撮影に行かないかと誘われ、休日に埼玉の山間部まで小旅行に赴きました。それまで鉄道に興味はなかったのですが、その同僚と見た山間部を走る列車に見とれてしまい、それからというもの休みのたびにあちこちの撮影スポットに行って鉄道の写真を撮るようになりました。
最初は会社の給料から生活費を差し引いた余りのお金を使って写真を撮りに行っていたのですが、鉄道にのめり込むようになると、自分を抑えられなくなり、旅費の足らない分はA銀行のカードローンで埋めてあちこちに写真撮影に出かけるようになりました。平成20年10月ごろ A銀行のカードローンは借りたり返したりの繰り返しでしたが、給料の範囲で返済できていたのでその当時はそれほど深刻に考えていませんでした。
平成20年の10月ごろだったと思いますが、鉄道仲間の一人が新しいカメラを購入したと聞き見に行きました。そのカメラは外国製の高性能カメラで望遠レンズの性能が高いことで有名でした。自分も欲しいと思いましたが100万円を超えると聞いていたため一生買えないだろうと思っておりました。そんな話を鉄道仲間でしていると、その中の一人に金融関係の仕事についている人がおり、Bローンでローンを組めば買えるという話を聞きました。詳しく話を聞くと、自分の収入でも問題なく返せると思いましたので、会社の帰りにカメラの専門店に赴きBローンのローンを使って100万円ほどのカメラを購入しました。平成23年12月ごろ A銀行のカードローンの返済とBローンのカメラの分割払いが少し負担に感じておりましたが、生活を少し節約すれば返済できていたのでそれほど深くは考えておりませんでした。
ところが、平成23年の年末になって、勤めていた会社の業績が急激に落ち込んでいるという噂が耳に入ってきました。仕事は忙しかったので、業績も悪くないと思っておりましたが、上司の話を聞いていると、想像以上に深刻な状態にあったようで、年末のボーナスも出ず給料の支払いも滞るようになりました。
そのため、予定していたボーナス払いの返済が出来なくなり、生活費と返済の不足分を補うため仕方なくCクレジットのキャッシングを利用するようになりました。平成24年1月ごろ 勤めていた会社が倒産してしまい、新しい働き先を探すことになりました。夜逃げ同然の突然の倒産で経営者の行方が分からなくなってしまいました。離職票の発行もなく失業保険の受給もすぐにはできないような状態でしたので、AローンのカードローンやCクレジットのキャッシングを利用して生活費の不足分を補うようになりました。
3月になってから新しい会社(㈱ニコニコ旅行社)に就職が決まりましたが、給料が15万円ほどになりましたので、返済が厳しくなり、A銀行やCクレジットの借入で何とかやりくりして返済をしておりました。平成26年1月ごろ 生活費を切り詰めてA銀行・Bローン・Cクレジットの返済を続けておりましたが、借金はほとんど減らないような状況でした。返済にお金を回さなければならないため生活費の不足に悩まされることも多くなり、D信用組合のカードローンからも借り入れを始めて生活費の不足分を補うようになりました。 平成26年2月ごろ 生活費の不足分を借り入れで何とか補っている状態でしたので、毎日が本当につらい状況でした。
そんなとき、高校時代の友人Xから久しぶりに電話がありました。高校時代のXは野球部のエースでドラフト3位でプロ野球の〇〇に入団した自慢の友人です。
久しぶりに会ったXはプロ野球選手らしく羽振りもよさそうにしていました。自分が生活に困っているというような話をすると「返すのはいつでもいいから」といって30万円を貸してくれました。最初は断ったのですが、いつもの自分の甘えが出てしまい、Xから借りたお金を生活費の不足分や返済に回しました。平成26年11月ごろ このころになると、返済のめどがどうにも立たなくなりました。インターネットで調べていると、どう考えても自己破産するしかない状況であると自覚するようになりました。
インターネットで人柄の良さそうな弁護士を見つけ相談に行ったところ、自分の場合は自己破産しか解決の道はないだろうということでございました。
最初はその弁護士さんに依頼しようと思ったのですが、裁判所で自己破産の申立書をもらって来れば自分でも自己破産はできるということを聞きましたので、インターネットで調べながらこの申立書を作成し、自己破産をするに至りました。
注)この作文例はこのサイトの管理人が独断と偏見で書いたものです。この作文例を参考にして申し立てをした場合であってもこのサイトの管理人は一切の責任を負えませんのでご自身の判断と責任でご利用ください。
なお、自己破産申立書の作文の記載方法などについてはこちらのページで解説しています。