自己破産で戸籍謄本の添付が必要となるのはどんな場合?

自己破産の申立書を裁判所に提出する場合には、その申立書に記載した事項を証明するための書類を収集して添付することが必要です。

これらの書類のことを「添付書類」といいますが、事案によってはこの添付書類に戸籍謄本が含まれることがあります。

戸籍謄本は原則として自己破産の添付書類となっていませんが、自己破産する人の資産や負債に戸籍上の家族が関係している場合には、その家族との戸籍上のつながりを示す必要が生じるため、その関係性を証明する目的で戸籍の添付が必要となる場合があるのです。

しかし、戸籍謄本を添付する事案はそれほど多くありませんので、自己破産の申立で戸籍謄本が必要になるかならないか、その判断がつかないということも多いと思われます。

そこで今回は、具体的にどのような場合に戸籍謄本が必要になるのか、といった点について具体例を交えて説明してみることにいたしましょう。

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自己破産する人が相続人となっている場合

自己破産する人が相続人となっているような相続が発生している場合には、その相続関係を証する書類として戸籍謄本の添付が必要となります。

これは、自分が相続人となるような相続が発生していると、その亡くなった人の所有する財産が相続人に相続されることになり、「資産」として受け取ることになるからです。

自己破産の手続きでは自己破産する人の所有する財産(資産)はすべて裁判所に取り上げられて換価され、債権者に分配されることになりますが、その財産(資産)には相続によって受け取る財産(資産)も含まれますので、相続財産についても裁判所に申告しなければなりません。

相続財産を裁判所に申告するためには、その前提として自分に相続人としての地位があることも証明しなければなりませんので、その家族関係を証明する戸籍謄本の添付が必要となるわけです。

相続人となる場合は様々なので具体的に一つ一つ説明することはできませんが、一般的に相続人となることが多い事例とその場合に必要となる戸籍の種類をいくつか表にしてあげておきますので参考にしてください。

必要となる戸籍等
亡くなった人について自己破産の申立人について
親が亡くなっている場合親の戸籍または除籍謄本自分の戸籍謄本
子供がなくなっている場合子供の戸籍または除籍謄本自分の戸籍謄本
配偶者が亡くなっている場合配偶者と自分の戸籍謄本(※配偶者は除籍されている)
兄弟姉妹が亡くなっている場合兄弟姉妹の戸籍または除籍謄本自分の戸籍謄本

※上記の表はあくまでも一般的な相続の場合を表示しています。子供が結婚していたり子供に子がいる場合などはその子の親は相続人になりません。また兄弟姉妹が婚姻している場合には兄弟姉妹は基本的に相続人とはなりません。

 

離婚した配偶者に養育費を支払っている場合

離婚した配偶者(夫・妻)に養育費を支払っている場合には、その支払っている元妻(元夫)と婚姻関係にあったことを証明するために、戸籍謄本の添付が必要となります。

養育費を口座振替などで支払っている場合には、銀行の通帳などに相手先(元夫・元妻)の指名が送金先として表示されますが、裁判官や破産管財人にはそれが養育費を支払っている元夫(元妻)であることは判然としません。

裁判官や破産管財人としては第三者に毎月理由のないお金を送金しているとしか判断のしようがありませんから、「資産隠しでもしているのではないか」と疑ってしまうわけです。

そのためその送金先しているお金が養育費であって、その送金先が元夫(元妻)であることを証明するために戸籍謄本を添付する必要があるのです。

戸籍謄本には、そのお金の送金先となっている人間が元夫(元妻)であってことが表示されていますから、それを証明することで養育費を支払っているということが証明できることになります。

 

離婚した配偶者から養育費を受け取っている場合

離婚した配偶者(夫・妻)から養育費を受け取っている場合も戸籍謄本の添付が必要となります。

たとえば、離婚した配偶者から銀行振り込みの形で養育費を受け取っている場合には、銀行の通帳に送金元である相手方(離婚した配偶者)の氏名が表示されますが、裁判官や破産管財人にはその氏名が元配偶者であることはわかりません。

そのため、その送金を受けているお金が養育費であって、その送金元が元夫(元妻)であることを証明するために戸籍謄本の添付が必要となるのです。

 

その他の場合

戸籍謄本が必要となる事例として上記のような事例が代表的ですが、これら以外にも家族関係を証明する必要があるときは戸籍謄本の添付が必要となりますのでご注意ください。

もっとも、裁判所や破産管財人が戸籍を必要とするときは「○○さんと○○さんの戸籍を提出してください」と指示をしてくれるのが通常ですので、裁判官や破産管財人の指示に従って戸籍を提出しておけば問題ないでしょう。

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