自己破産で給料の未払いがある場合に問題となること

自己破産の申立をする人に、勤務先の会社から給料の未払いがある場合は注意が必要です。

自己破産の申立においては、自己破産の申立をする人が所有する財産(資産)は、生活の再建に必要となる一定の財産(※法律上は自由財産と呼ばれます)を除いて、全て裁判所に取り上げられて売却され、そのお金が債権者に分配(配当)されることになります。

この点、自己破産の申立をする人に給料の未払いがある場合には、その未だ受け取っていない給料は、自己破産の手続き上「財産(資産)」と判断されます。

「受け取る権利があるのに未だ受け取っていないお金」という意味で「財産(資産)」となるのです。

※勤務先の会社が給料の未払い状態となっている場合は、自己破産申立書の資産説明書(資産目録)の「請求権(貸金・求償金)」の欄にその「未払い分の賃金」を、「収入」の欄に「通常受け取るべき給料の金額」を記載することになります。

≫ 資産説明書(目録)の作成手順(5)収入等の欄の記載方法

≫ 資産目録(説明書)の作成手順(7)貸金・求償金の欄の記載方法

ところで、自己破産の手続きにおいては、自己破産の申立をする人が「財産(資産)」を有している場合に、その「財産(資産)」が手元にない場合には、裁判所から選任された破産管財人が自己破産の申立をする人に代わってその「財産(資産)」を回収(請求)することになります。

破産管財人は通常、裁判所の名簿に登録された弁護士が選任されることになりますが、この破産管財人の請求に応じない相手がある場合は、破産管財人が自己破産の手続きとは別個に裁判を提起してその「財産(資産)」を回収することになります。

この破産管財人の行う「財産(資産)」の回収には当然、自己破産の申立をする人が受け取っていない給料も対象となります。

前述したとおり、未払いの給料についても「財産(資産)」と判断されますから、破産管財人が自己破産の申立をする人に代わって勤務先の会社に対して請求することになるのです。

これは、勤務先の会社に自分が自己破産することが知られてしまうということを意味します。

破産管財人は、自己破産の申立人が申し立てた自己破産手続きの「管財人」という立場で請求しなければなりませんから、勤務先の会社に対しても自己破産の申立をしたということがバレてしまうのです。

 

もちろん、勤務先の会社に自己破産をすることが知られてしまったからといって、そのことだけを理由として勤務先の会社が従業員を解雇することはできません。

しかし、全ての会社が法律に精通し法律を遵守しているとは限りませんから、会社によっては法律に違反することを知りながら自己破産をすることが分かった時点で解雇してしまうということも考えられるでしょう。

自己破産すると会社を解雇されてしまうのか?

このように、もしも自己破産の申立をする時点で勤務先の会社に給料の未払いがある場合には、勤務先の会社に自分が自己破産をすることが知られてしまう結果となり、最悪の場合には解雇されてしまうという可能性があるということになりますので注意が必要です。

 

給料の未払いがあるような会社はまともな会社ではありませんので、たとえ会社に自己破産が知られることになり解雇されることになったとしても全く問題がないかもしれませんが、そのような会社でも勤務していきたいと思っている人の場合は、自己破産の申立の前に給料の未払い分が解消されるように何らかの対処を取るなどの必要があるでしょう。

 


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