うつ病の人が自己破産の申立をする場合、自己破産の申立書に添付することを忘れてはならない書類があります。
それは、”医師の診断書”です。
うつ病のひとは医師の診断書を添付しなければならないという法律はありませんので、正確には「”添付した方がよい”書類」ということになりますが、自己破産の申立人がうつ病を患っている場合には、医師の診断書を添付することを忘れないようにするべきでしょう。
なぜなら、うつ病であることを証明する医師の診断書を裁判所に提出しておけば、驚くほど簡単に自己破産の手続きが終了するからです。
医師の診断書を添付する方が良い理由
私も過去に酷いうつ病の人から自己破産の依頼を受けたことがありますが、その際に自己破産の申立書に医師の診断書を添付して提出したところ、申立から3か月程度で手続きが終了してしまいました。
私が受任した案件で最速記録でした。
最初は医師の診断書を提出するつもりはなかったのですが、申立書を裁判所に提出する際に申立書のファイルを取り出したところ、そのファイルの中に依頼人に取得してもらっていた医師の診断書が挟まれていたので、念のため
「あの~、申立人がうつ病の方なんですけど、医者の診断書なんて添付する必要ありませんよね」
と聞いたところ、裁判所の書記官のおばさんが
「診断書があるんだったら出してください」
と言われたので、診断書も提出することにしました。
もちろん、依頼人には事前に「裁判所が診断書を出せと言って来たら提出します」と説明しているので、依頼人の確認はとったうえで提出しています。
そうしたら、通常は最短でも半年はかかるような自己破産の手続きが、わずか3か月で終了してしまいました。
しかも、補正(申立書の訂正)が一度も入らずにです。
案件が簡単だったのかというとそうでもありません。
個人からの借入も数件ありましたし、破産に至った主な事情はパチンコでしたから、バッチリ免責不許可事由に該当しています。
しかも、申立書を作成するために依頼人と5~6回ほど打ち合わせをしたのですが、依頼人が話す内容が「それって本当の話なの?」というような嘘っぽい話のオンパレードで、会うたびに依頼人のウソが判明して何回も申立書を書き直すというような状況でした。
そのため、申立書を作成している自分でも「怪しい申立書だな~、本当にこれで大丈夫かな~」と思いながら提出したのですが、予想に反してあっさり免責が下りてしまいました。
これは私の個人的な想像ですが、裁判所も鬱病の人にあれこれ事情聴取をして、病状を悪化させるのが怖いのだと思います。
もちろん、医師からは「私や裁判官から自己破産のことを根掘り葉掘り聞かれても問題ない」ということの確認はとっていましたから(そのために医師の診断書を取ってもらいました)裁判所で審問(裁判所で裁判官と面談すること)されるのも問題ないはずです。
しかし、万が一のことを考えると申立人の症状を悪化させてしまう恐れもありますから、裁判所もあまり深くかかわらない方が良いと判断したのかもしれません。
裁判所といっても、所詮は役所の一部に過ぎません。
万が一病状を悪化させて問題になったときには責任問題になりますから、出来るだけ簡易な手続きで終わらせたかったのではないでしょうか。
なので、うつ病の人が自己破産をする場合には、医師の診断書は絶対に添付すべきだと思います。