友人や知人、家族などから借りた借金であっても、そのお金を貸してもらった友人などを自己破産の「債権者」として申し立てを行えば、免責(借金の返済が免除されること)によってその借金の返済は免除されることになります。
しかし、それはあくまでも法律的に返済が免除されるということにすぎません。
貸したお金を返してもらえなくなった友人などからすれば、法律的にお金の回収が不可能になったからといって許してくれるはずがありませんから、場合によってはその友人から一生恨まれることもあるかもしれません。
信頼関係の強い友人であればあるほどその反動は大きなものとなりますから、自己破産した時点でそのお金を貸してくれた友人との関係は終了すると考えた方がよいでしょう。
このように、友人や家族からお金を借りるということは、その友人などとの関係性を終了させてしまう危険性のある行為といえますので、仮にお金を借りなければならない事情があるにしてもその判断は極力慎重に考えなければなりません。
そこで今回は、友人や家族に借金を頼む前にこれだけは考えておいてもらいたいという事項を、3つ厳選してご紹介することにいたします。
① 他に借金があるならその借金を返すのが先決では?
まず、友人や家族からお金を借りる前に、銀行や消費者金融から借りている借金があるのであれば、それを整理することを考えるべきでしょう。
銀行や借金から融資を受けられないほど限度額一杯まで借入を行っているということは、社会的に「これ以上お金を貸しても返済できない人」であると判断されていることになります。
融資のプロである金融機関から「こいつにこれ以上お金を貸しても返せないだろう」と判断されているのですから、たとえあなたが「これぐらいの借金なら返せる」と判断していたとしても、それは融資の素人であるあなたの勝手な思い込みにすぎないのであって、友人から借りたお金を返せるわけがないのです。
そのような状態にありながら、今まで親しくしてきた友人からお金を借りることができるのでしょうか?
「金融機関から融資を受けられなくなったから」という理由で友人や家族からお金を借りるということは、その友人や家族からの借金を踏み倒す可能性があることを十分認識しながらお金を借りる行為に他なりません。
金融機関がお金を貸してくれないような「債務超過」の状態であることを隠したまま友人や家族からお金を借りるということは、自分を信頼してくれている友人や家族に対する裏切り行為に他ならないでしょう。
このように、ほかに借金があるにもかかわらず、その借金を整理しないまま友人や家族に借金を頼むという行為は明らかな背信行為といえます。
友人や家族に安易に借金を頼む前に、自分の抱えている借金と真摯に向き合って、まずその借金の整理を考えることが必要なのではないでしょうか?
② 縁を切られる可能性があることも認識していますか?
「愛は憎しみの元」という言葉があるかどうか知りませんが、友人や家族からの愛もひとつ間違えば憎しみへと早変わりします。
もし仮に友人から借りたお金を返せない場合、その友人は必ずあなたを憎むでしょう。
どんなに仲が良かった友人でも、お金の貸し借りは友情を破壊してしまうことが多いです。
そして、そのようなお金の問題で破綻してしまった友人関係は、二度と元に戻ることはないでしょう。
未来のことはだれにもわかりませんから、たとえ「確実に返すことができる」と判断できる状況であっても、将来的に何らかの事情で返済できなくなる可能性があることは否定できません。
友人との関係性が終了する可能性があったとしてもなお、友人から借りなければならない事情があるのか、という点を今一度考え直す必要があるのではないかと思います。
③ お金を貸してくれる友人を破綻させてしまう可能性があることは認識していますか?
前述したように、銀行や消費者金融の融資枠を超えているということは、その時点ですでに融資のプロである金融機関から「こいつにこれ以上お金を貸しても返せないだろう」と判断されているということになります。
それほどの負債を抱えてしまった人が、友人や家族から借りたお金を返すことができるはずがありませんから、たとえ自分では「確実に返すことができる」と思っていても、ほぼ確実に返済できないことになるでしょう。
友人や家族から借りたお金を返せないということは、その金額によってはその友人や家族の生活を破たんさせてしまう可能性があります。
数万円程度の借金であればそれほどではないでしょうが、数十万、数百万といった単位で借りているような場合には、その借金が返せなくなった場合に友人や家族が受ける経済的ダメージは計り知れません。
場合によってはそのお金を貸してくれた友人や家族が自己破産をしなければならない事態に陥ってしまうこともあるでしょう。
それでもなお、友人や家族からお金を借りなければならない事情があるでしょうか?
友人や家族の生活を破綻させてまでお金を借りなければならない事情がこの世に存在しているのでしょうか?
繰り返しますが、金融機関から融資を断られるということは、すでにその時点で「債務超過」や「返済不能」に陥っていると判断することができますし、そのように判断すべき状態にあるといえます。
本来であれば、その時点で弁護士や司法書士に相談し、自己破産やその他の債務整理手続きを行って借金を整理しなければならない状態であるといえるのです。
それにもかかわらず友人や家族からお金を借りるということは、借金を踏み倒すことを承知の上でお金を借りるということに他なりません。
返済に行き詰ったからといって安易に友人や家族からお金を借りてしまうことは、自分を信頼してくれている友人や家族の気持ちを踏みにじることであるということは肝に銘じておかなければならないでしょう。