NHKの受信料に滞納がある場合の自己破産の注意点

自己破産の申立てをしようと考えている人がNHKの受信料の支払いを滞納している場合には、その滞納分の受信料はどのように扱われるのでしょうか?

自己破産の手続きにおいては光熱費などの滞納分も貸金業者などからの借金と同じように負債として扱わなければならないのが原則です。

≫ 自己破産で家賃や光熱費に滞納がある場合の注意点

この点、NHKの受信料も光熱費などと同様に考えて自己破産の負債として手続きに含めてもよいのでしょうか?

NHKの受信料も光熱費などと同様に考えることができるなら、受信料の滞納分も自己破産の免責によって支払いが免除されることになるので問題となります。

そこで今回は、自己破産の手続きではNHKの受信料はどのように扱われるのか、という点について考えてみることにいたしましょう。

NHKの受信料の滞納分も「負債」として裁判所に報告しなければならない

結論からいうと、NHKの受信料の滞納分についても自己破産の手続きにおいては裁判所に報告しなければならないということになります。

NHKの受信料も、その滞納している受信料については「払わなけれなならないけれども払っていないお金」という意味で「負債(借金)」となりますので、自己破産の手続きでは「債務」として債権者一覧表に記載する必要があります。

≫ 債権者一覧表の書き方(2)債権者名の記載方法

 

NHKの滞納受信料の債権者一覧表への記載方法

NHKの受信料の滞納分を債権者一覧表に記載する場合には、NHKの正式名称である「日本放送協会」を「債権者」とし、その滞納分の受信料を「債務額」として記載します。

債権者一覧表は各地の裁判所で使用している様式が異なっていますが、次のような様式が使用されている裁判所の場合には、「借入・購入の日(最初)」の欄に受信料を滞納し始めた月を、「借入・購入の日(最後)」の欄に受信料を滞納している最後の月(自己破産の申立の前月)を記載することになります。

例えば、NHKの受信料を平成27年8月支払い分から平成28年5月支払い分まで滞納している人が裁判所に自己破産の申立書を提出するのが平成28年の6月20日である場合には、次のような記載例になります。

(※地上契約の継続振り込みの場合は1か月分の受信料は2,620円なので10か月分で26,200円となります)

番号債権社名住所等借入・購入の日(最初)現在の債務額~省略~
借入・購入の日(最後)
日本放送協会省略H27年8月末日26,200円~省略~
H28年5月末日
~省略~~省略~~省略~~省略~~省略~

 

なお、債権者一覧表における債権者や債権額などの記載方法についてはこちらのページで解説しています。

≫ 債権者一覧表の書き方(5)借入・購入等の日の記載方法

 

免責を受けると滞納分の支払いが免除される

前述したようにNHKの受信料の滞納分も債権者一覧表に「債務額」として記載しなければなりませんが、自己破産の免責(借金の返済が免除されること)が裁判所から出されれば、滞納分の受信料の支払いは免除されることになります。

NHKの受信料は公共料金の一つといえますが、税金ではないので自己破産の非免責債権(自己破産によっても返済が免除されない債権のこと)には該当しません。

そのため、自己破産の免責を受けられれば受信料の滞納分は支払う必要がなくなることになります。

※放送法64条により、テレビを設置している世帯では必ずNHKと受信契約をしなければならないと定めれられていますので、テレビが設置してある限りNHKの受信料を支払わなければならないことになります。

しかし、NHKの受信料を支払わなければならないのはあくまでもNHKとの「受信契約」に基づく「契約上の義務」であって、「国民に課せられた義務」というようなものではありません。

そのため、NHKという公共放送の受信料であっても単に「契約」から生じる負債にすぎませんから、自己破産の免責が下りれば滞納分の受信料の支払が免除されることになります。

 

免責の対象となるのは裁判所から自己破産の開始決定が出される「前」の滞納分に限られる

自己破産の免責が認められると、申立書の債権者一覧表に記載したNHKの滞納受信料は支払いが免除されることになりますが、その免除されるのはあくまでも「裁判所から自己破産の開始決定が出されるまでの滞納分」に限られます。

自己破産の申立書を提出すると裁判所の裁判官と書記官が申立書を調査し、問題がなければ自己破産の手続きを開始させる「開始決定」を出すことになりますが、この自己破産の手続きで審理の対象となるのはこの「開始決定が出されるまで」の負債(借金)に限られます。

自己破産の「開始決定が出された後」に発生する負債についてはこの自己破産の手続き上で審理の対象とはなりませんから、「開始決定が出された後」に発生するNHKの受信料については免責の対象とはならないのです。

自己破産の開始決定は、申立書に不備がなければ申立書を提出して1週間ほどで出されるのが一般的ですから、前述の例で考えると自己破産の申立書を提出するのが平成28年の6月20日でしたのから早ければ申立てから1週間後の6月27日前後に開始決定が出されるでしょう。

この場合、仮に7月1日に自己破産の開始決定が出されたとすると、免責の対象となるのは7月以前に支払期限の到来した受信料の滞納分となりますから、平成28年の6月支払い分までの受信料の滞納分が免責の対象となることになります。

なお、前述の例では申立書の債権者一覧表に28年の5月分までの滞納分しか「債務額」として記載していなかったので、5月支払い分までしか免責の対象とならないのではないかと思うかもしれませんが、開始決定が出たのが7月1日であればその開始決定が出される前の6月支払い分までの11か月分の滞納分28,820円が免責の対象となります。

「開始決定の後に発生する受信料はどうなるか」というと、開始決定の後に発生する受信料はその自己破産の手続きとは全く関係のない「債務」ということになりますので、請求があった都度支払わなければなりません。

自己破産の債権者にNHKを含めれば「滞納分」の受信料は免責(支払いが免除されること)の対象となり支払う必要がなくなりますが、自己破産したからといって「NHKの受信契約」が自動的に解約されるわけではありませんので誤解しないようにしてください。

なお、自己破産の開始決定が出された後の受信料も支払いたくないという場合には、それはもう自己破産の手続きとは全く別の話となりますから、自宅からテレビを撤去したうえでNHKに受信契約の解約の申込みを行って受信契約自体を解約する必要があります。

 

※なお、NHKの受信契約を解約する手順についてはこちらのページを参考にしてください。

≫ NHKの受信契約を解約(解除)する手順

以上のように、NHKの受信料を滞納している人が自己破産をする場合には、その滞納分も債務として裁判所に届け出て免責の対象とする必要があります。

長い期間にNHKの受信料を滞納しているにもかかわらず、その滞納分を「負債」として債権者一覧表に記載しなかった場合には、その滞納受信料を自己破産の手続きが終了した後も支払わなければならなくなってしまいますので注意するようにしましょう。

 


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