自己破産の申立書で作成する債権者一覧表には、「債権者名」を記載する欄が設けられています。
この「債権者」の欄には、自分がお金を支払わなければならない相手方(お金を貸している方)の名前や会社名を記載します。
通常は、請求書や督促状に記載されている相手方の名前を記載しておけばよいですが、債権者の中には保証会社やサービサー(債権回収会社)が含んでいるものもあって、いったいどの名前(会社名)を記載すればよいか迷うこともあるでしょう。
そこで、ここでは債権者一覧表の「債権者名」の欄に記載する方法などを考えてみたいと思います。
なお、自己破産の他の書類の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。
債権者一覧表の「債権者名」の役割について
まず、債権者一覧表に記載する「債権者名」がどのような役割を担っているかを、考えてみましょう。
債権者一覧表に「債権者名」記載する代表的な意味は
① 借金の免除の対象となる債権の債権者を明らかにすること
② 裁判所の通知書の発送先となる相手先を明らかにすること
③ 裁判所が債権調査をする際の相手方を明らかにすること
の3つになります。
①については、自己破産の最終目的は「免責(借金の返済が免除されること)」を求めることにあるので、債権者一覧表にその免責の対象となる「債務(債権者)」を明らかにする必要があります。
逆に言えば、債権者一覧表に記載されていない債権者にたいする債務については免責の対象とはならないのが原則なので、債権者一覧表の債権者に記載漏れがないように注意する必要があります。
②については、自己破産の手続きでは裁判所から「あなたがお金を貸している〇〇さんが自己破産を申立しましたよ」とか「あなたがお金を貸している〇〇さんが自己破産しましたから異議がある時は裁判所に届け出てくださいね」とかいった通知書が債権者宛に発行されることになります。
その際利用される封筒の宛名には、基本的に債権者一覧表の「債権者名」に記載した社名(名前)が記載されることになりますので、「裁判所が通知書を送る場合の封筒の宛名」という意味合いも意識して記載する必要があります。
③については、自己破産の手続きで裁判所が必要と判断した場合には、各債権者に個別に連絡を取って債権者に調査を行うことがあります。
そのため、「裁判所が調査を行う相手先の債権者として適当な債権者名か」も意識しながら記載する必要があります。
少々前置きが長くなりましたが、次からは個別に債権者名の記載方法を考えていきましょう。
通常は借金をしている相手方の名前を書く
債権者が貸金業者などの場合
通常は、お金を借りている相手方の会社名などを書いておけば問題ありません。
たとえば、ア〇ムからお金を借りているなら「ア〇ム株式会社」、武〇士なら「株式会社武〇士」という具合でいいでしょう。
債権者が個人の場合
お金を借りているのが貸金業者などではなく個人の場合は、その人の名前を「山田太郎」といった感じで記載します。
なお、裁判所の様式によっては「債権者名」の下の欄に「債権者が個人の場合は関係」などと記載されている場合がありますので、個人からの借金である場合(家族や友人などからの借金など)は「父」「姉」「友人」「会社の同僚」などその人との関係を記載してください(※自分から見た関係を記載するので、兄から借金している場合は「弟」ではなく「兄」と書きます)。
なお、債権者が金融機関や個人の場合の記載例はこんな感じになります。
番号 | 債権者名 | 住所等 | 債務額 | ~ | |
1 | ア〇ム株式会社 | ||||
(債権者が個人の場合は関係) | |||||
2 | 株式会社武〇士 | ||||
(債権者が個人の場合は関係) | |||||
3 | 山田太郎 | ||||
( 兄 ) |
債権者が銀行の場合(銀行から借り入れをしている場合)
債権者が銀行の場合(銀行から借金をしている場合)には、債権者一覧表の「債権者名」の欄には、その借金の契約をしている銀行の「支店名」を併記するようにします。
これは、銀行の場合、借り入れの契約状況や請求は全て支店ごとに行っている場合が通常ですので、裁判所とのやり取りもその支店ごとに行っていることが多いためです。
債権者が銀行の場合の記載例はこんな感じになります。
番号 | 債権者名 | 住所 | ~ |
1 | 株式会社A銀行X (〇○支店) | 〇市〇町… | |
~ |
ヤミ金からの借り入れがある場合
ヤミ金からの借り入れを債権者として挙げることも可能です。
たとえば、「ヤマダ」と名乗る090金融から借り入れを行っている場合には次のように記載します。
番号 | 債権者名 | 住所 | ~ |
1 | ヤマダ | 不明 | |
~ |
なお、ヤミ金からの借り入れがある場合の記載方法はこちらのページをご覧ください。
保証会社や保証人が契約に絡んでいる場合
保証会社や保証人が契約に絡んでいる場合は、保証会社や保証人が「代位弁済する前」と「代位弁済をした後」で自己破産の債権者一覧表の「債権者名」の記載方法が異なります。
そこで、ここからは保証会社が「代位弁済をする前」と「代位弁済をした後」に分けて記載方法を考えてみましょう(※保証人についても保証会社と同様に考えてください)。
なお、保証会社が代位弁済する前か後かを判断する方法はこちらのページをご覧ください。
自己破産の債権者に保証会社が付いている場合の注意点 | 自己破産ねっと!
なお、保証会社が代位弁済する前か後かを判断する方法はこちらのページをご覧ください。