自己破産の申立書の中でも重要な書類となる「報告書」。
裁判所によっては「陳述書」と呼ばれることもある報告書ですが、そこに記載しなければならない項目は多岐にわたっていて、なかなかイメージしづらいものがあります。
そこで、ここでは自己破産申立書の「報告書(陳述書)」の概要について「サラッ」とご紹介しておくことにしましょう。
なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。
自己破産申立書の「報告書(陳述書)」とは?
自己破産申立書の「報告書(陳述書)」とは、一言でいうと自己破産の申し立てをする人が「どういった人生を歩んできたのか」を紹介するものになります。
自己破産をする事情は人それぞれ異なりますので、裁判所は自己破産の申し立てをする人が「どういう人生を歩んできてどのような事情があって自己破産する必要に迫られているのか」ということが分かりません。
自己破産するに至った事情が分からないことには、裁判所も「この人の自己破産を認めて良いのだろうか」とか「この人の自己破産を認めたとしてこの人はキチンと更生できるのだろうか」といったことの判断がつきませんから、最終的に自己破産の申し立てを認めるか認めないかの判断が出来ないわけです。
そのため、自己破産の申し立てをしている人が「過去にどのような職業に就き収入はいくらだったのか」「家族はいるのか(結婚しているのか)」「借金は何に使ったのか」などについて裁判所に報告するために「報告書(陳述書)」という書類を作成して提出することが必要になるのです。
ウソは絶対に書いてはダメ!
一番注意すべき点は「嘘は絶対に書かないこと」です。
自己破産する人に多いのが、自分に不利になる内容を隠して依頼する弁護士や司法書士にウソの申告をする人です。
ギャンブルや浪費など自己破産の申し立てで不利になる事由をことさらに隠してウソの報告書(陳述書)を作成しようとする人が結構いますが、これは絶対にしてはいけません。
依頼する弁護士や司法書士、申立書をチェックする裁判所の書記官や裁判官はその道のプロですから、虚偽の申告(申立書を作成)しても、あとで必ず見破られます。
ギャンブルや浪費など自分に不利になる内容を隠したとしても、借入の時期や内容など他の要素と関連付けてみるとつじつまが合わないことが多くなり、最終的におかしな申立書になってしまうので、見る人が見れば「ウソ」と分かってしまうのです。
依頼している弁護士や司法書士にウソがばれるぐらいならまだいいですが、弁護士や司法書士がそのウソに気付かずに申立書を作成してしまうと最悪です。
裁判所に申立書を提出した後に書記官や裁判官にそのウソを指摘されてしまったらアウトです。自己破産の免責(借金の返済免除を受けること)はかなり難しくなると言ってもいいでしょう。
自己破産の申立書には自分に不利になることも全て正直に記載しなければなりません。
人間は過ちを犯すものです。
「こういう間違いを起こしましたけど、自分はこんな風に反省していて今後は二度とこういう間違いを起こしません」という姿勢が一番大切なのです。
ちなみに、ウソの申告をして自己破産の申し立てを行うことは法律で禁じられており「破産者の説明義務違反」という犯罪になります。
「破産者の説明義務違反」の量刑は「三年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」となっていますのでご注意ください(破産法第40条1項、同268条1項)。