(1)保証会社が代位弁済をする「前」の債権者名の記載方法
保証会社が代位弁済をする前の段階なら、債権者名の欄には保証会社ではなく元々お金を借りている相手方を記載します。
例えばX銀行の借入についての保証会社がY保証株式会社であるとして、代位弁済がいまだなされていない状況なら債権者名は「X銀行株式会社」と記載します。
ただし、裁判所に保証会社があることを伝えるために備考の欄に「保証会社:Y保証株式会社」とか「平成○年○月○日Y保証株式会社との間で保証委託契約」などと記載しておいたほうが良いでしょう。
なお、すでに保証会社や銀行などから「○月○日に代位弁済します」などという連絡が入っていて代位弁済されることが確実になっている場合には、「平成○年○月○日、Y保証株式会社より代位弁済予定」などと記載してもよいと思います。
また、右側の欄に「保証人」の欄が設置してある申立書の様式である場合は、保証人の欄に☑を入れておきましょう。
記載例はこんな感じになります。
番号 | 債権者名 | ~ | 備考 | 保証人 |
1 | X銀行株式会社 (〇○駅前支店) | 保証会社:Y保証株式会社 | ☑ | |
2 | 株式会社P銀行 (本店営業部) | 平成○年○月○日 株式会社Q保証より代位弁済予定 | ☑ |
(2)保証会社が代位弁済した後の債権者名の記載方法
保証会社(保証人も同様です)が代位弁済すると、代位弁済を受けた方の債権は消滅し、代わりに保証会社が求償権を取得して債権者となります。
そのため、代位弁済がされた後は保証会社を「債権者名」の欄に記載することになります。
また、代位弁済がされたことを裁判所に伝えるため、「備考」の欄に「平成○年○月○日、X銀行株式会社に代位弁済」と記載しておいた方がいいでしょう。
なお、保証会社が保証委託契約に基づいて代位弁済を行うことにより、債権者が主債務者から保証会社に変更されることになりますので、「保証人」の欄のチェック(☑)は外すことになります(保証会社に保証会社はついていないので代位弁済した債権に保証人はついていないことになりますから保証人のチェックは外すことになります)。
記載例はこんな感じです。
番号 | 債権者名 | ~ | 備考 | 保証人 |
1 | Y保証株式会社 | 平成〇年〇月〇日、 X銀行株式会社〇〇支店に代位弁済 | □ | |
~ | □ |
※なお、保証会社が代位弁済した後の債権者一覧表の債権額の欄に記載する金額についてはこちらのページを参考にしてください。
サービサー(債権回収会社)が請求してきている場合
サービサーとは、金融機関から債権を譲り受けて、または委託を受けて債権の回収業務を行っている会社のことです。
金融機関は貸しているお金を返してもらえないとき、通常は自社で回収業務を行いますが、回収業務は煩雑だったりするので、その道のプロであるサービサー(債権回収会社)に回収業務を依頼することがあります。
また、回収できないような債権は不良債権となってしまいますから、ある程度で見切りをつけて安い値段でサービサーに売却したりすることがあります。
金融機関がサービサーを利用している場合には、当初お金を借りていた金融機関ではなくサービサー(債権回収会社)から請求書なり督促状が届くと思いますので、サービサー(債権回収会社)が絡んでいるのはある程度すぐにわかるでしょう。
サービサー(債権回収会社)が登場してくる場合には、それが「債権を譲り受けている場合」と「債権の回収業務を委託されている場合」で債権者一覧表の「債権者名」の記載が異なってきます。
(1)サービサー(債権回収会社)が債権を譲り受けている場合
サービサー(債権回収会社)が債権を譲り受けている場合は、債権者がサービサー(債権回収会社)に変更されるので、「債権者名」の欄にはサービサー(債権回収会社)の名前を書くことになります。
例えば、X銀行からお金を借りて返済が滞っていたところ、回収が難しいと感じたX銀行がサービサーのZ債権回収に債権を譲り渡した(売却した)というような場合は、「債権者名」の欄には「Z債権回収株式会社」と記載します。
なお、債権が譲渡されたことを裁判所に申告するために、備考欄に「平成○年○月○日、X銀行より債権譲受け」などと記載しておいた方がよいでしょう。
記載例はこんな感じです。
番号 | 債権者名 | ~ | 備考 | 保証人 |
1 | Z債権回収株式会社 | 平成〇年〇月〇日、X銀行株式会社 〇〇支店より債権譲受け | □ | |
~ | □ |
(1)サービサー(債権回収会社)が債権の回収業務の委託を受けている場合
サービサー(債権回収会社)が債権回収業務の委託を受けている場合は、依然として債権は債権者(前述の例でいえばX銀行)にありますので、「債権者名」の欄には債権者(前述の例ではX銀行)を記載します。
ただし、サービサー(債権回収会社)は債権者から回収業務の委託を受けていますので、自己破産の申し立てを行った場合の裁判所との連絡はサービサー(債権回収会社)が行うことになります。
前述の例でいえば、債権はX銀行にあるけれども裁判所とのやり取り(通知書の受け取りや異議の申し立て)はサービサー(債権回収会社)であるZ債権回収が行うことになります。
そこで、債権者一覧表の「債権者名」の欄には「X銀行株式会社」と記載し、そのあとに「(債権回収会社:Z債権回収株式会社)」と記載したりします。
記載例はこんな感じです。
番号 | 債権者名 | ~ | 備考 | 保証人 |
1 | X銀行株式会社〇〇支店 (債権回収会社:Z債権回収株式会社) | □ | ||
~ | □ |
もっとも、このあたりの記載方法は各裁判所や弁護士、司法書士さんの間でも様々な記載方法があると思いますので、事前に弁護士や司法書士、各裁判所に確認しておいた方がいいと思います。
借入の古いものから順に記載する
債権者名の記載方法は概ね上記の様になりますが、その記載する順序については決まりがあります。
債権者は、債権者一覧表の上から記載していきますが、その順序は借入が古いものから順に記載していきましょう。
たとえば、A銀行からの借入が平成5年1月1日、B金融からの借入が平成20年1月1日、Cカードからの借入が平成3年1月1日、Dローンからの借入が平成10年1月1日からであったとすると、債権者一覧表への記載例は次のようになります。
番号 | 債権者名 | 住所 | ~ |
1 | Cカード | 〇市〇町… | |
2 | A銀行 | 〇市〇町… | |
3 | Dローン | 〇市〇町… | |
4 | B金融 | 〇市〇町… |
なお、1社から複数の契約で別個に借り入れがあるような場合は、その複数の契約のうち最も古いものを基準に記載することになります。
例えば、前述の例でDローンからの借入が平成10年1月1日からものとは別に、もう一つ平成4年1月1日からの借入があるような場合は次のような記載順序となります。
番号 | 債権者名 | ~ | 借入・購入等の日 | |
1 | Cカード | H3/1/1~ | ||
2 | 1 | Dローン | H4/1/1~ | |
2 | 同上 | H10/1/1~ | ||
3 | A銀行 | H5/1/1~ | ||
4 | B金融 | H20/1/1~ |