資産目録(説明書)の作成手順(11)自動車・バイクの記載方法

自動車やバイクを所有している人が自己破産をする場合は、その自動車やバイク(原動機付自転車を含む)の査定価格などを「資産」として申立書に記入しなければなりません。

自動車やバイクは、売却すればお金に換えられる可能性があるため「資産(財産)」としての価値が認められ、裁判所が正確に把握しておく必要があるからです。

そこで、ここでは自己破産申立書の資産説明書(資産目録・財産目録)にある「自動車・バイク等」の欄の記載方法(書き方)について考えてみることにいたしましょう。

なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。

自己破産申立書作成マニュアル(目次)

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資産目録(説明書)の「自動車・バイク等」の欄の様式

自己破産の申立書は各裁判所によってその様式に若干の違いがありますが、ここでは東京地裁と福岡地裁で実際に使用されている資産説明書(資産目録)の「自動車・バイク等」の欄の様式を参考として挙げておきます。

≪東京地裁で使用されている資産目録の「自動車・バイク等」の欄≫

● 自動車・バイク等
*車名、購入金額、購入時期、年式、所有権留保の有無及び評価額を記載します。
*駐車場代・ガソリン代を家計から支出している人は調査が必要です。
*自動車車検証又は登録事項証明書の写しを添付します。

車 名購入金額購入時期年式所有権留保評価額
 円 年 月 日 年□ 有 □ 無 円
 円 年 月 日 年□ 有 □ 無 円

≪福岡地裁で使用されている資産説明書の「自動車・バイク等」の欄≫

10 所有又は使用する自動車等(自動二輪車、原動機付自転車を含む。)
□ない
□次のとおり(添付書類:車検証、自動車査定書等)

車 名購入金額購入時期年式所有名義人所有権留保評価額
 円 年 月 日 年□有 □無 円
 円 年 月 日 年□有 □無 円

 

資産説明書(目録)に記載すべき自動車・バイクとは

資産説明書(資産目録・財産目録)に記載しなければならない自動車およびバイクとは、基本的には車検証や登録証の「所有者」の名義が自分になっている者を記載します。

しかし、自動車やバイクをローンで購入しているような場合には、ローンが完済されるまでの間はローン会社や販売店の名前が車検証や登録証の「所有者」として記載されている場合があります。

このような場合を「所有権留保」(ローンの完済まで所有権が販売会社やローン会社に留保されているという意味)が付いていると言いますが、このような場合はたとえ自己破産の申立人の名義となっていない自動車やバイクであっても、資産説明書(目録)の欄に「資産」として記載しなければなりません。

このように、車検証や登録証に自己破産の申立人の名前がない自動車やバイクであっても、資産説明書(資産目録・財産目録)の「自動車・バイク等」の欄に「資産」として記載しなければならない場合があるので注意が必要です。

また、記載しなければならない自動車やバイクに制限はありませんからどんなに古い車やバイクであっても、自分の自動車やバイクについては全て記載しなければなりません。

なお、他人の自動車やバイクを自分の名義にしてある場合の対処法についてはこちらのページで詳しく解説しています。

自己破産で他人の自動車やバイクを自分の名義にしている場合

 

未登録の車・バイクも記載しなければならない

現在は必要がないため乗っておらず車庫や実家に置きっぱなしにしている自動車やバイクがあるかもしれません。

そのような自動車やバイクは車検証や登録証がありませんので、自己破産の申立書に記載しなくても良いのではないかと考える人もいるでしょう。

しかし、このような登録や車検のない自動車やバイクであっても、自分が「自分の車(バイク)だ」と認識しているようなら「資産」として記載しなければなりません。

車検証や登録証という書類がない場合であっても、自分の車やバイクだという認識があるのなら、自分の「資産」として裁判所に申告する必要があります。

 

他人の名義でも資産説明書(目録)に記載が必要な場合

前述したように、基本的に資産説明書(資産目録・財産目録)に記載を擁するのは、「自己破産の申し立てをする人の名義」になっている自動車やバイクです。

しかし、自動車やバイクが自己破産の申立人以外の名義になっている場合であっても、自己破産の申立人の「資産」として記載しなければならない場合があります。

例えば、AとBの夫婦が自家用車を購入する場合に、便宜上Bの名義にして自動車を購入しているとします。

このような事例でAが自己破産する場合、B名義の自動車をAの自己破産申立書に「Aの資産」として申告しなくても良いのかというと、必ずしもそういうわけにはいきません。

この場合、車検証や登録証ではBの名義となっていますが、実質的な所有者はA(またはAとBの共有)と言えなくもないことから、Aの資産として破産手続上の財産と認められる余地があるためです。

裁判所や破産管財人は、車検証や登録証の名義が誰であるかという形式的(表面的)な判断材料だけでなく、その自動車・バイクの本当の所有者が誰であるかという判断を実質的な側面から判断します。

そのため、このように実施的に自分の資産となるような車やバイクがある場合にはたとえその名義が他人名義になっていたとしても資産説明書(資産目録・財産目録)の「自動車・バイク」の欄に記載しておく必要があるのです。

なお、このように自分以外の名義になっている自動車やバイクを「資産」として記載する場合は、「なぜ自分以外の名義になっている自動車・バイクを自分の資産として挙げたか」という理由を上申書などに記載して提出する必要があるでしょう。

なお、この場合に添付する上申書の記載例は下記のようなものになります。

〇〇地方裁判所破産係 御中

上申書

申立人 破産太郎 ㊞

破産セン子名義の自動車を資産として記載していることについて

 資産目録の「自動車」の欄に破産セン子名義の自動車を記載していますが、これは便宜上の理由で名義を妻のセン子としているためでございます。

この自家用車については、購入する際に妻のセン子から「今まで自分の車を持ったことがないから私(セン子)の名義で登録したい」との要望があり、それに応じる形で妻セン子の名義として登録をいたしております。

そのため、形式的には妻セン子の名義になっておりますが、実質的には夫婦共有の自動車であり、申立人である私の資産として計上すべきと考える予地もございましたので、「申立人所有の資産」として申告した次第でございます。

以上

 

 

「所有者」が販売業者やローン会社の名義になっている場合

前述したように、自動車やバイクをローンで購入した場合は、車検証や登録証の「所有者」の欄に販売業者やローン会社の名前が、「使用者」の欄に購入者(自分)の名前が記載されている場合があります。

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