過去に多くの自己破産の申立事件を処理してきましたが、自己破産の申立の依頼を受けて申立書を作成していると、自己破産をする人に3つの共通した特徴があることに気付きます。
あくまでも私の個人的な感想ですが、その特徴は自己破産する人のほとんどの人が備えていると言っても過言ではないぐらい、当てはまる比率は高いと思います。
そこで今回は、自己破産をする人に共通する3つの特徴をご紹介することにいたしましょう。
必要以上に複数の生命保険に加入している
まず、自己破産する人の特徴として挙げられるのが、複数の生命保険に加入している人が多いということです。
生命保険はリスクヘッジの一つとして必要かもしれませんが、自己破産をする人の中には同じような生命保険を2つも3つも掛けている人が多くいます。
複数の保険に加入するのも補償が厚くなって良い面もありますが、その分保険料の支払いが大きくなり、保険料の支払いに窮してしまう人は意外に多くいます。
そして、収入が減少した場合であってもそれらの保険を解約しようとはせず、借り入れで保険料の支払いをしてしまい、借金が雪だるま式に膨れ上がるといった事例は多いです。
本人はすぐに収入が回復するので保険を解約するより借り入れで補った方が得だと思っているのですが、このご時世、収入が上がる確率はほぼありません。
ちなみに、複数の生命保険に加入する人は、生命保険の勧誘(営業・外交員)の仕事をしていたり、過去に生命保険の仕事をしていた人も多いです。
生命保険の勧誘(営業・外交員)をしている人は、営業の成績をよくするために自分で保険に加入したり、家族や親類に保険の加入を頼んだりすることが多く、たとえば奥さんが生命保険の勧誘(営業・外交員)をしていて旦那や子供の名義で保険を契約しまくり、毎月10万円に近い保険料の支払が困難になり消費者金融から借り入れをするようになって夫婦ともども自己破産するというよおうな事例はよく見受けられます。
また、たとえばA社の保険の営業をしているaさんがB社の保険の営業をしているbさんと友達になり、aさんがB社の保険を、bさんがA社の保険をといった形で互いに保険の契約をし合う自爆営業を行うことにより毎月多額の保険料を支払っているという事例も結構存在します。
生命保険業界で自爆営業が蔓延しているかどうかは知りませんが、生命保険の営業の仕事をしている人は、自爆営業に陥ってしまわないよう注意しておいた方がいいかもしれません。
なお、自爆営業の自己破産における問題点についてはこちらのページも参考にしてください。
ATMの時間外手数料に無頓着
自己破産する人に共通する特徴の2つ目は、自己破産する人は概ねATMの時間外手数料に無頓着であることが挙げられます。
自己破産の申立書には、裁判所が自己破産する人が資産隠しなどをしていないか調べるため、預金口座の通帳のコピーを添付して提出しなければなりません。
そのため、自己破産の申立を作成する場合には、事前に自己破産の依頼者から預金通帳を預かって全てのページを確認して不正なお金の動きがないか調べる必要があるのですが、自己破産をする人の通帳には必ずと言ってよいほど休日や夜間などATM手数料が必要となる時間帯にお金を引き出している履歴が記録されています。
普通の人であれば、ATMの時間外手数料をとられるのはもったいないと考えて休日前の平日にあらかじめお金を下ろしておくのが通常ですし、緊急の必要性でもない限りコンビニのATMを利用して預金を引き出したりすることはないでしょう。
しかし、自己破産をする人はこの辺の感覚がマヒしているのか、何の躊躇もなく日曜や祝日、夜間にATMを利用してお金を引き出しますし、手数料が必要となるコンビニのATMも日常的に利用していることが多いです。
酷い人になると、週に数千円程度を何回もコンビニのATMを利用して引き出し、手数料がハンパない金額になっていることもあります。
そして、自己破産する人は、それが「無駄」な「もったいない」支出であることに気付いていません。
「こういうのは無駄になるから注意しないとダメでしょ?」と教えてあげても「そう言われるとそうですけど、お金が必要だから引き出したんですよ」と反省できない傾向は自己破産する人に多くみられる特徴ですので、ATMの時間外手数料にそれほど抵抗のない人は気を付けた方が良いかもしれません。
ケーブルテレビに加入している
そして、自己破産する人に共通する3つ目の特徴は、自己破産をする人はなぜかケーブルテレビに加入している割合が高いということです(※あくまでも私の個人的な感想です)。
(※ケーブルテレビに加入している人は自己破産しやすいということを言っているわけではありません)
前述したように自己破産の申立書を作成する際には自己破産する人の預金通帳をチェックする必要があるのですが、依頼人から通帳を預かって入出金履歴を確認していると、ケーブルテレビの料金が引き落とされているのを見つけることが多々あります。
私の個人的な感覚では自己破産する人の5割程度の人はケーブルテレビに加入しているのではないかと思うぐらい加入率は高いです。
ケーブルテレビの料金はインターネットのプロバイダ利用料と合算されている場合であっても数千円程度にしかなりませんが、生活に必ずしも必要なものではありませんので、通常の人であれば生活に困窮した時点で真っ先にケーブルテレビはリストラの候補として挙がるでしょう。
しかし、自己破産する人は「数千円程度なら解約しなくても問題ないだろう」と考えて、借金で首が回らなくなった後もそのまま契約を継続している場合が多いと思います。
このように、自己破産する人は生活に何が必要不可欠なのか、何をリストラすれば家計の収支をプラスに出来るかが分からない人が多く、その代表的な帰結が生活に困窮してもケーブルテレビを契約し続けるという行為に表れているのかもしれません。