社員旅行の積立金などに代表される社内積立金や、冠婚葬祭の互助会の積立金など、将来払い戻されることが確実な「積立金」を積み立てている場合があります。
この積み立てているお金は、自己破産の手続においては当然「資産」としての性質を有していますから、自己破産の申立においてはその積立金がどのような性質もので、どれだけ払い戻されるのかといったことについて、裁判所に(裁判官に)説明しなければなりません。
そのため、この「積立金」に関する資料を収集して、自己破産申立書に添付して裁判所に提出しなければならないことになっています。
そこで、ここでは自己破産の申立書に添付が必要となる積立金に関する書類の収集方法などについて考えていくことにいたしましょう。
なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。
社内積立金がある場合
社員旅行や財形貯蓄など、勤務先の会社で給料から天引きされて積み立てているお金(積立金)がある場合には、その積み立てている金額の総額がわかるような資料を自己破産の申立書に添付しなければなりません。
具体的には、社員旅行などの積立金であれば勤務先の会社に頼んで発行してもらう「積立金の証明書」を、財形貯蓄であれば勤務先の会社が提携している金融機関が発行する「積立金の証明書」を添付すればOKです。
「社内積立金の証明書」のひな型が会社にないような場合は、次のような体裁の書面をワードなどで作成し、A4用紙にプリントアウトしてから会社に金額などを記入してもらうのもよいかと思います。
≪社内積立金の証明書のひな型≫
殿 貴殿が当社に積み立てている積立金の総額は以下のとおりです。 記 【積立金の種類】 □ 社員旅行積立金 【積立金の総額】 金 円 以上 平成 年 月 日 所在地 |
会社に頼むと自己破産をすることがバレるような恐れがある場合
積立金の証明書の発行を会社に頼むと、自己破産することが会社にバレる可能性があるような心配をする方も多いでしょう。
そのような場合は、別途上申書を作成して積立金の証明書を会社から取得できないことを説明するとともに、積立金が給料から差し引かれていることを証明するために給与明細の写し(コピー)をとって証明書の代わりに提出するしかないでしょう。
≪上申書の例≫
〇〇裁判所 御中平成〇年〇月○日 上申書 申立人 破産する太郎 ㊞ 積立金の書類を添付できないことについて 申立人である私は、勤務先の会社に社員旅行の積立金を積み立てております。 これは、毎月金○円が毎月の給与から差し引かれて積み立てられているもので、毎年○月に社員旅行が行われていることから、その翌月から本年度分の積立が行われていると考えると、現時点での総額は金○円になっていると思われます。 この積立金の総額を証明する書類については、勤務先から積立金総額を証する書面の発行を求めることが必要と思われましたが、自己破産をすることが勤務先の会社に知られる可能性があったため、取得することができませんでした。 もっとも、給与明細書に記載された毎月の社員旅行積立金の金額に昨年度の社員旅行のあった月から今月までの月数である○を乗じた金額が、積立金の総額(具体的には破産申立時点の積立金の総額は金〇〇万円)になるものと思料いたしますので、給与明細の写しをもって積立金の総額を証する書面に代えさせていただきたく上申いたす次第です。 以上
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冠婚葬祭の互助会に積立金がある場合
冠婚葬祭の際に必要となる費用を毎月一定額積み立てていくことを目的とした互助会などと契約している場合には、契約年数に応じて一定の積立金が発生しているはずです。
この互助会の積立金は、仮にその互助会を解約した場合には違約金などを差し引かれた残りの積立金が払い戻されるのが通常であるため、自己破産の申し立てに際しては「資産」としての性質を有することになります。
そのため、冠婚葬祭の互助会と契約している場合には、積立金の総額がいくらになるかという証明書を互助会の運営会社で作成してもらい、その証明書を自己破産の申立書に添付しなければなりません。
互助会の運営会社で積立金の証明書を発行してもらえないような場合は、積立金の総額が計算できるような計算式の載っている契約書や契約年数の記載された書類などから積立金の総額が計算できると思いますので、それらの書類をコピーして提出することで問題ないと思います。