資産目録の作成手順(18)養育費・慰謝料等の記載方法

福岡地裁などで使用されている自己破産申立書の資産説明書(資産目録)には、「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を記載する欄が独立して設けられています。

これは、養育費や慰謝料といったものは、自分が受け取る場合であってもその反対に自分が支払う場合であっても、自己破産の申し立てにおいては問題となる可能性があり、裁判所がその内容を把握するためにも記載事項にしておいた方が良いと考えられるからです。

そこで、ここでは自己破産申立書の資産説明書(資産目録)にある「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を記載する欄の記載方法(書き方)について考えていくことにいたしましょう。

なお、自己破産申立書の作成方法についてはこちらの目次ページから必要な書類のページに移動してご確認をお願いします。

自己破産申立書作成マニュアル(目次)

資産説明書(資産目録)に記載すべき「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」とは?

資産説明書(資産目録)に記載すべき「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」とは、代表的なものとしては離婚の際の慰謝料や、離婚に伴う子供の養育費が挙げられます。

その他、離婚する際に夫婦共有財産を分割する場合に受け取る(支払う)財産分与や扶養家族がいる場合の扶養料なども該当します。

≪養育費と扶養料の違い≫

養育費と扶養料は似たような言葉ですが、少し意味合いが異なります。

例えばAとBの夫婦が離婚するときに、Bが子供Cを成人になるまで育てるという場合を想定してみましょう。

この事例で「養育費」とは、BがAに対して請求するCが成人するまで必要な生活費や学費などのことを指します。

一方「扶養料」とは、子供であるCがAに対して請求するCが成人になるまでの生活費や学費などのことを指します。

このように、養育費と扶養料は実質的には同じ内容のお金と言えますが、その概念(養育する人が請求するか扶養されるべき人が請求するか)が異なっています。

 

なお、養育費と扶養料の違いについてはこちらのページで詳しく解説しています。

養育費や扶養料を支払っている人が自己破産する場合の注意点

 

受け取る場合は「資産」に、支払う場合は「負債」になる

自己破産の手続において「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」などは、基本的にはそれを受け取る場合には「資産」、支払う場合には「負債」という扱いになります。

例えば、自己破産をするAが、過去に離婚したAから子供の養育費として毎月5万円を受け取っている場合は、その5万円は自己破産の手続においては「資産」という扱いになり、逆に、Aが過去に離婚した元妻に子供の養育費を毎月5万円支払っている場合には、その5万円は「負債」という扱いになります。

もっとも、「資産」という扱いになるとはいっても、養育費や扶養料の2分の1に相当する金額は差押が禁止される債権となっていますから(民事執行法151条の2、同152条)、自己破産の手続きにおいても、自己破産したからと言って裁判所にその全額が取り上げられることはありません(破産法34条3項)。

また、「負債」という扱いになっているとはいっても、Aが自己破産する場合にBに支払わなければならない養育費は自己破産したからと言ってその支払いが免除されるわけではありません(自己破産しても養育費は免責の対象とはなりません)。

なお、養育費や扶養料についてはこちらのページも参考にしてください。

養育費や扶養料を受け取っている人が自己破産する場合の注意点

養育費や扶養料を支払っている人が自己破産する場合の注意点

 

「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を受け取っている場合

自己破産の申し立てをする人が「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を受け取っている場合は、その金額や相手方を記載しなければなりません。

なお、前述したように、養育費や扶養料は「資産」という扱いになるとはいっても、その2分の1に相当する金額は差押が禁止される債権となっていますから(民事執行法151条の2、同152条)、自己破産の手続きにおいても、自己破産したからと言ってその全額が裁判所に取り上げられることはありません(破産法34条3項・ただし養育費や扶養料の2分の1は裁判所に取り上げられる可能性はあります)。

また、自己破産で「資産」として評価されるのは、自己破産の手続きが開始されるまでに受領した(発生した)養育費や扶養料に限られますので、自己破産が開始される前に受領した養育費や扶養料についてはその2分の1が取り上げられる可能性がありますが、自己破産の手続きが開始された後に受け取る養育費や扶養料はその全額を自由に使うことが出来ます(自己破産が開始された後に受け取る養育費や扶養料は裁判所に取り上げられることはありません)。

裁判所は破産者の全ての資産を把握して判断しなければなりませんので、その判断材料の一つとして「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」すべての資産を記載しなければならないとなっています。

 

「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を支払っている場合

前述したように、「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を支払っている場合はその内容を記載しなければなりません。

なお、実際に「養育料、慰謝料、財産分与、扶養料等」を支払っている場合の資産説明書(資産目録)への記載方法は次のようになります。

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