退職金を使ってしまった場合、自己破産はどうなるの?

自己破産の手続きでは、退職金に関してはすでに受け取っている場合だけでなく、将来的に受け取る予定があるものについても、その退職金の8分の1にあたる金額については裁判所に取り上げられて債権者に分配(配当)されるのが原則です。

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しかし、ここで疑問に思うのは、

「受け取った退職金をすでに使ってしまっている場合にはどうなるのか?」

という点です。

受け取った退職金をすでに使ってしまっている場合には、取り上げられるべき退職金が存在していないのですから、たとえ裁判所が退職金を取り上げたいと思っても取り上げることができない考えられるからです。

このような場合、退職金は債権者への分配(配当)が免除されたりするものなのでしょうか?

答えはNOです。

このような場合であっても、裁判所から受け取った退職金の8分の1にあたる金額は取り上げられることになります。

受け取った退職金を使ってしまったら取り上げられることがないとしてしまっては、自己破産の申立の直前に無駄にお金を使って債権者の利益を不当に害した人が見逃されることになってしまい、不公平な結果となってしまうからです。

 

もっとも、すでに退職金を使ってしまっている場合には退職金が手元に残っていませんから、裁判所は取り上げたくても取り上げることができません。

そのため、このような場合には、裁判所は取り上げられるはずであった退職金の金額(受け取った退職金の8分の1にあたる金額)と同額を積み立てさせて、その金額が積み立てられた時点で裁判所(破産管財人)が取り上げて債権者に分配されることになります。

積み立ては、自己破産を依頼する弁護士や司法書士の事務所の口座に行ったり、破産管財人の口座に振り込んだりする場合もあって、その案件によって異なりますが、裁判所から数か月間の猶予期間を与えられてその間に積み立てを行うことが多いです。

 

積み立てができない場合はどうなるか?という点が問題になりますが、その場合には、基本的に自己破産の免責(借金の返済が免除されること)は認められないことになるでしょう。

 

このように、たとえ受け取った退職金を費消してしまっている場合であっても、退職金の債権者への分配が免除されるわけではなく、それと同等の金額が取り上げられてしまいますのでご注意ください。

退職金を受け取った時点で借金の返済が困難になっている場合には、むやみに退職金を返済に充てるのではなく、その時点で速やかに弁護士や司法書士に相談するのが最適な解決方法になるといえるでしょう。

 


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